走れずとも成果あり「この経験をチームに還元」

新年を迎えた今月2、3日、箱根駅伝が行われた。競走部の門出康孝さん(理3)が関東学連選抜に選出され、箱根駅伝出場が期待された。
当日のオーダーが発表された。そこに門出さんの名前はなかった。
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「学連選抜に選ばれるのは今年の目標だった」と話す。中高時代の成績は県大会出場程度。近年、箱根路を走る塾生も目にしない。そうした中で箱根駅伝が現実味を帯びたのが大学2年生の時。
出場した予選会で、「チーム内でトップになれば学連選抜が狙える」と大きな自信がついた。
関東学連選抜に選ばれるまですべてが順風満帆ではなかった。
夏合宿後、足の甲を疲労骨折。走れない日が続いた。その中でも「バイクをこいだり、筋トレをしたりして、体力を落とさない工夫」をこらした。挫折しても折れない心、門出さんは長距離ランナーに一番必要な精神を持ち合わせている。
メンバーに選ばれ、素質を示しても安心はできなかった。関東学連選抜に選ばれた16人のうち、本選で走れるのは10人。記録会(1万㍍)では自己ベストを記録したが、16人中13位。「力の差は感じた」。それでも、「今まで応援してくれた人、支えてくれた人への感謝の気持ちを持って走りたい」と意気込んでいた。
当日は待機の時間が長くなったが、「1月1日からの3日間、緊張感ある雰囲気を楽しめた」と振り返った。
「駅伝では流れが大事。一区間だけが早くても上にいけない」。箱根駅伝を肌で感じたことで学ぶこともあったという。
学連選抜選出後には「この経験をチームに還元したい」と話していた。今後は競走部の駅伝チームで新たに立てた目標タイムの突破を目指すという。個人の目標としても「ハーフマラソンの塾内記録を更新して、慶應競走部に名前を刻みたい」と高いモチベーションを見せた。

 

(樫村拓真)