青学大戦○43―14 前半で圧倒 大学選手権へ
関東大学ラグビー対抗戦は最終戦を迎え、慶大は青学大に前半1トライも与えず、43―14で勝利した。対抗戦5位とし、大学選手権出場を決めた。
慶大は前半から果敢に攻め込む。しかし、青学大粘りの守備を振り切れない。
均衡が崩れたのは18分。ラインアウトからモールで押し込み、FL木原(総2)が先制トライを奪う。この得点を皮切りに、26分、30分にもトライを奪い、前半を折り返した。
慶大は後半も攻勢をかける。6分にトライを奪うと、この後も2トライ。途中、2トライを奪われたが、34分にFB武谷(総3)が意表を突くドロップゴールを決め、そのままノーサイドとなった。
大学選手権初戦の相手は関西学大。CTB高田(経4)は「フォワードとバックスが一体となっていて強い相手」と警戒しながらも、「こちらも変わらずタックルで勝ちたい」と意気込んだ。
関西学大戦○29―17 後半流れ乗り粘り振り切る
関西大学リーグ戦3位の関西学大との大学選手権セカンドステージ第1戦。慶大は前半、12―12の同点とされるものの、後半は運動量で上回り、29―17でシーソーゲームを制した。
試合開始早々の2分、SO宮川(環3)の突破からパスを受けたWTB鈴木(経4)が先制トライ。リードを奪ったが、19分には追いつかれ、その後一進一退のペースで前半を12―12で折り返した。
後半に入り9分、外側のスペースにボールを展開され、12―17とついに逆転のトライを許す。しかし、相手の運動量が落ちてきたのを機に、慶大がボールをキープして攻める時間が多くなると、14分にCTB高田(経4)が相手のディフェンスのすき間をすり抜けてトライを決め、19―17と逆転に成功。流れに乗った慶大は26分、32分にもトライを追加し、29―17で勝利。粘る関西学大を突き放した。
筑波大戦●28―55 先手取るも地力の差出る
ファイナルステージ進出へ勝利が絶対条件だった筑波大との一戦。前半9分に先制トライを挙げたものの、筑波大の鋭いランニングや密集戦での圧力に押され、前後半で8トライを献上。28―55で敗れ、法大との最終戦を残して、セカンドステージ敗退が決まった。
序盤は慶大ペース。低いタックルで相手の前進を止めると、9分にSO宮川(環3)のキックパスを受けたWTB瀧口(文4)が先制トライを挙げた。直後に同点とされるも、20分にラインアウトのサインプレーからFL森川(環2)がトライ。14―10とリードした。
しかし22分、「相手のキーマンにボールを渡し過ぎてしまった」(WTB瀧口)と、筑波大WTB彦坂にキックカウンターで約50㍍走られ、14―17と逆転を許す。ここから筑波大の攻勢は続き、30分、35分とトライを奪われ、前半終了時で17点差をつけられた。
後半、25分にLO山田(環4)、40分に途中出場のWTB川原(環3)がトライと意地を見せたが、筑波大の速く力強いランに押され、さらに点差を広げられた。
「先手を取って相手を慌てさせるまでは良かったが、地力の差は明らか」(CTB高田・経4)と完敗を認めざるを得なかった。
法大戦●28―29 終了間際で逆転負け
ラグビー大学選手権の法大戦。慶大は攻め込みながらも得点できない場面が多く、28―29で接戦を落とした。
前半、慶大は敵陣で長くプレーしたが、サポートの遅れが目立ち、攻め切ることができなかった。逆に、前半26分に先制のトライを許してしまう。
後半は大きく試合が動いた。開始直後にパスミスから失点。その後、慶大も後半6分にラインアウトから初トライを奪い反撃。両校譲らない点の取り合いとなった。終了間際の38分、慶大はラインアウトからモールで押し込み、28―26と逆転に成功。しかし、その直後に相手にペナルティゴールを献上。それがラストプレーとなり今シーズン最後のノーサイドの笛が鳴った。
この試合で4年生は引退。茂木主将は「最後の試合だったのでプライドをもって戦った。しかし、タックルが甘くなってしまった」と試合を振り返った。(関西学大・筑波大戦は塚本雅章、青学大・法大戦は樫村拓真)
総評 組織としての試合運びできず
「鍛えに鍛えた」(FL茂木・理4)。朝5時半から始まり、1日に4部もの練習を約1カ月行う「地獄の夏合宿」を経て臨んだが、対抗戦では3勝4敗で5位。そして、大学選手権ではセカンドステージ敗退。またも年を越すことなく、慶大蹴球部のシーズンは終了となった。
試合運びで難があったのは明らか。シーズン序盤から中盤、WTB浦野(政2)をSOで起用し、キックで陣地を稼ぎ、武器としていたモール攻撃で得点をするゲームプランを組み立てていた。しかし、モール攻撃がほとんどの試合で相手のディフェンスに阻まれ、攻め手に欠く場面が多々見られた。
シーズン終盤の早大戦でようやく、去年から先発メンバーで出場していたSO宮川(環3)が復帰。彼の持ち味の前に出る仕掛けはチームの攻撃に勢いをもたらした。
しかし、周りのフォローが薄いことで、宮川が個人技で強引にディフェンスラインを突破し、ミスでチャンスをつぶすことも多かった。チームとして掲げていた「組織として動く」(FL茂木)攻撃を体現するまでのレベルに達していなかった。
ディフェンス面に関しては、シーズンを通して「2トライ以内に抑えて、3トライ以上取って勝つ」(田中監督)セオリーを徹底できなかった。特に帝京大戦では、前半に4トライを取られるなど、明らかなタックルミス、選手間でのディフェンスの連係ミスで相手に簡単に突破を許す場面が散見された。
対抗戦の上位4校(帝京大、筑波大、明大、早大)に比べ、選手個人の体格や技能は劣っていることも踏まえ、慶大は攻守において「組織」でプレーすることを意識し、局面で数的優位を作り出すことがキーポイントとなる。
そこで、いかに少ないチャンスでミスなく連続攻撃を仕掛け、トライを取り切るか。ディフェンスではタックルミスを最小限に抑えるのはもちろんのこと、相手のミスを誘発するようなディフェンスができるか。そして、チームとしての戦い方、試合の組み立てを確立できるか。2年連続対抗戦5位と低迷する慶大の奮起に期待したい。
(塚本雅章)