慶應義塾大学は卒業生のつながりが強いイメージがあるだろう。それは、福沢諭吉の「卒業生を大切にする」という精神が長年受け継がれているためだと言われている。そこで今回は、慶應義塾の卒業生(以下、塾員)を中心とした会員が集う「銀座BRB」(以下、BRB)で、事務局代表を務める野田和敬氏に話を聞いた。
BRBがオープンしたのは1982年。BRBという店名は、「Blue Red & Blue」の略称で、慶應義塾の校旗である三色旗に由来する。塾員相互の交流、さらに慶應義塾と塾員との架け橋となることを目的に、その機会と場を提供するために設立された。また、慶應義塾独自の用語で「社中」と称される、塾員、現役学生、慶應義塾の教職員(以下、塾教職員)の三者をつなぐ場にもなっている。
BRBは会員制のクラブハウス。入会資格は塾員と塾教職員に与えられている。現在の会員数はおよそ3千人。会員は「正会員(40歳以上の男性塾員)」、「U40会員(40歳未満の男性塾員)」、「婦人会員( 女性塾員)」、「特別会員(塾教職員)」の4つに分類され、全体の約半数が正会員だ。また、設立当初は比率が少なかった婦人会員の人数はこの1年で100人増加し、現在350人。女性でも入会しやすいよう、婦人会員の年会費は比較的安く設定されているという。
親睦の場として利用されることが多いBRBでは、多い時で月に80件ものパーティーが開催される。部活のOB会、同期会、ゼミの会などが行われているが、最も多いのはクラス会での利用だ。また、会員が最低1名同行していれば、家族や他大学出身の仲間との団らんの場としても利用することが可能。中には、銀座という好立地に位置していることから、商談にBRBを使う会員もいるという。
このように親睦を深める場として利用される一方、学びを深めるための催しも数多く行われている。教養を高め、慶應義塾とのつながりを深めることを目的に、大学から名誉教授などをゲストに招くセミナーを毎月開催。30人近くが集まり、古典文学鑑賞や俳句作りなどさまざまなプログラムを楽しんでいる。
社中のコミュニケーションの機会と場を提供するBRB。今後について野田氏は「世代を超えた塾員同士の良いつながりを、BRBを通して増やしていきたい」と語る。さらに「バブルを知らない世代の人たちにも、BRBで明るい雰囲気を味わってほしい」と野田氏。この願いを叶えるべく、BRBは今後も社中のパイプ役を担っていく。
(上智新聞・藤垣春香)