片山善博教授による講演会「『地域主権改革』のゆくえと地方自治の課題」が先月24日、三田キャンパス北館ホールで行われた。主催は法学研究所。片山教授は菅直人内閣時に総務大臣を務めた経験から、政権交代後の「地域主権改革」について総括した。
住民主権強化訴える
自公政権は国が地方に権限を分ける「地方分権改革」を行った。だが実際、多くの住民の意見は自治体に反映されていない。そのため政権交代を機に民主党は、権限は地方にあるとし、住民自治の強化を目標とした。
「地方議会の機能不全を改善し、住民の信用を得ることが重要だ」。片山教授は地域主権改革への住民の関心が薄いため、改革が進まない現状の打開策を打ち出した。また、住民投票の導入など、間接民主制を補完するために住民自治を充実させる必要性を説いた。
総務大臣時に片山教授は、義務付け・枠付けの見直しの一環で国の地方債関与を大幅に緩和。自治体の自由度を高めた。国庫補助金を一括交付金化し、補助金の使途を県単位で決定できるようにした。地方出先機関の地方移管にも尽力した。
しかし、野田佳彦内閣において地方主権改革は一部を除いて頓挫。「マニフェストを党内に浸透させることが課題だ」と片山教授は語った。一方で、現状では既存の制度の見直しや権限の逆移譲も求められると締めくくった。