法務省司法試験委員会は今月11日、2012年司法試験の合格者を発表した。慶大の合格者数は186人、合格率は53・6%となり、大学院別でともに3位で、前年を上回る結果となった。
 全体での合格者数は、過去最多の2102人。合格率も前年より約1・5㌽高い25・1%と新司法試験導入以来7年目にして、初めての増加となった。

 大学院別の合格者数順位は中大が202人で首位となり、5年連続のトップだった東大を追い越した。また、合格率順位のトップは前年と同様、一橋大で57・0%だった。

 慶大の合格者数は前年比22人増加し、合格率も5・6㌽上回った。合格者数は、中大、東大に続き3位。合格率においても一橋大、京大に次ぐ3位だった。前年はともに4位という結果だったが、今年度は着実にランクを上げた。
 新司法試験における、「既修者コース」と「未修者コース」の格差は、今年度も変わらず縮小されなかった。法学部出身者向けコースは2年制で36・2%を法曹界に送り出したのに対し、法学部以外の学部卒業生や社会人を中心とするコースは3年制で17・2%にとどまった。

 慶大においては、既修者コースの合格率が64・7%と、前年と比べて11・4㌽上昇したのに対し、未修者コースは依然として30%台にとどまり、今年も格差は埋まらなかった。受験者数は前年比で初めて減少した。母数の減少が合格率の上昇につながったとの見方もある。また、合格者数は増加したが、政府の法曹人口拡大計画で掲げている「年間合格者3000人程度」には遠く及ばなかった。

 今回初めて、法科大学院を修了していなくても、予備試験を通過した受験生が受験した。予備試験経由での合格者は58人、合格率は全体を大きく上回る68・2%となった。なお、慶大学部在学生からも予備試験ルートの司法試験合格者が誕生した。

【伊藤塾塾長・弁護士  伊藤真氏のコメント】
 本年度の司法試験では予備試験ルートからの合格者が誕生しました。大学在学中合格者がいることもあり、マスコミで取り上げられ話題となっています。
 法科大学院別の合格者数・合格率はより一層差が開く結果となりました。ますます法科大学院選びが重要になってきています。
 科目によっては出題傾向に変化があるものの、新しい司法試験も一定の方向性が見えてきたと思います。条文や判例に対する基礎的な理解をベースに、与えられた事案の解決策を論理的に表現する力が求められています。前提として事案を分析する力も必要です。予備試験に合格するための準備や法科大学院に合格するための準備も基本的にはこれと同じです。早い段階でこれらを意識して対策を講じた受験生が合格した結果となっています。