慶大には、早慶戦を陰で支える団体が存在する。慶早戦支援委員会だ。毎年数万人にものぼる早慶戦の来場者に、わずか数十人のメンバーで対応する。
慶早戦支援委員会委員長の上田佳奈枝さん(商4)は、「来場者の方々が安全に観戦出来ることが第一です。その上で、来場者の方々が心から楽しみ、満足出来るような早慶戦が理想です」と語る。
同委員会は来場者の安全を確保するため、早慶戦前夜から徹夜の警備を行っている。夜の警備は男子メンバーによるもので、交代で仮眠をとりながら、早慶戦期間中連日行う。 深夜の警備は肉体的にも精神的にも負担の大きなものだという。上田さんは「(男子部員は)お互いに会話をする余裕もないようです」と言う。
過去には慶大勝利後、全裸で日比谷公園の噴水に飛び込んだ塾生がいた。特に日比谷公園の警備には力を入れている。塾生が公園に入ってきた時点で、噴水に近寄ることのないように注意を促すという。「万が一飛び込んでしまう塾生がいたら、それを全力で止める責任があります」と話す。
早慶戦を運営する上で来場者からクレームを受けることは多々あり、時には怒鳴られることもあるという。しかし、常に腰を低く対応することで、トラブルを未然に防ぐ。「早慶戦と塾生をつなぐ架け橋としての委員会であることを意識し、常に責任を感じています」 また、昼間の警備では近隣の住民から温かい声がかかることもある。早慶戦において最も大切なことは「近隣の方々に迷惑をかけず、全ての来場者が安全に楽しく、ひとつになって絆を結べるような環境を提供する」ことだという。
伝統行事として受け継がれてきた早慶戦の裏には、同委員会をはじめとした多くの支援が隠されている。 (長谷川礼奈)