慶應義塾大学薬学部の水島徹教授らは先月15日、特発性肺線維症(特発性間質性肺炎)の新しい治療薬を開発したと発表した。同治療薬は吸入薬で、自宅での使用が容易だという。特発性肺線維症はこれまで治療法が確立されていなかった。
特発性肺線維症は肺が徐々に線維化し、呼吸機能が低下する病で、死亡率は肺がんより高い。
特発性肺線維症の特効薬としては、体内の酵素を利用して活性酸素を除去し、肺組織への攻撃を阻止するSODが知られている。水島教授らは、SODにリン脂質を結合させ組織への結合性や体内での安定性を高めたPC―SODの吸入製剤を開発した。吸入製剤の投与により、呼吸機能の低下の改善、活性酸素の減少が観察されたという。
吸入製剤の有効性の確認を受けて、慶大・熊本大・日本医科大の研究グループは製薬企業と共同で、日韓国際臨床試験を5月から開始する予定としている。