春になり、シーズンインを待ち構える体育会各部。部員の多くがオフシーズンを海外で過ごした水上スキー倶楽部も同様だ。
水上スキーは「カレッジスポーツ」と呼ばれ、同倶楽部でも、経験者の部員はほとんどいない。いわゆるマイナースポーツと呼ばれる競技だが、同倶楽部副将の田代貴大さん(商4)はその魅力を「努力した人間が勝つこと」と言い切る。シーズン中の練習は週に6日。オフシーズンには米・フロリダ州のスクールで、海外の現役選手に直接、指導を仰いだ。
同倶楽部は過去56回行われた全日本学生選手権大会(インカレ)で31回栄冠を手にした強豪だ。全くの素人から全日本の頂点に立つようになる裏には他の部員とOBの存在がある。練習では4人がボートに乗り込み、1人は操縦、残りの3人はスキーヤーの指導、サポートに回る。さらに、平日朝5時からの練習にも顔を見せるOBがいるという。また、Facebookを利用した指導も行われている。練習の動画を公開すると、それを見たOBがコメントをくれるのだそう。指導しあう仲間の存在、また情熱的なOBの存在、そしてフィードバックを貪欲に吸収する姿勢。それらを通して、インカレで優勝する「技術」を身につけていく。
インカレ5連覇を狙う同倶楽部の武器は「応援」だという。インカレは男子の場合4人、女子の場合3人が選手として出場する団体戦。さまざまな理由で試合に出場することができなかった選手も声を張り上げ、出来る限りを尽くすという。現在唯一の女子プレーヤーの都築紀さん(環2)は「入部するつもりはなかった(笑)けがで出場できなかった先輩が必死に応援する姿を見て入部を決意した」と昨年のインカレを振り返る。
今年のインカレに向けて田代さんは「チーム全体でインカレ総合優勝したい。女子部にも新入生が入部してアベック優勝できれば」と意気込む。杉山寛樹さん(法2)も「上級生が積み重ねてきたものを信頼している」とチーム一丸となって臨む構え。
仲間、OBとのつながりから培った確かな「技術」を、苦楽を共にした仲間からの「応援」の下で存分に発揮できれば、結果はおのずとついてくるだろう。 (堀内将大)