慶大の各キャンパス内で、盗難被害の注意喚起をする掲示を見たことがある人も多いだろう。
現在、キャンパス内での盗難事件が大きな問題となっている。日吉学生部学生生活担当の山崎健二さん、日吉メディアセンターパブリックサービス担当の関口素子さんにお話を伺った。
キャンパス内での盗難被害はどういった場所や状況で起きやすいのだろうか。
日吉キャンパスでの盗難被害の多くはメディアセンター(以下、メディア)内で起こっているが、他にもキャンパスの建物内、中庭、蝮谷の體育會の施設など、さまざまな場所で起こっている、と山崎さんは言う。
メディア内や中庭などで多いのが、置いたままにしてあるかばんから貴重品が抜かれてしまうケース。メディアでは財布を出したままにして寝てしまっている学生がいることや、トイレに持って行きそこに置き忘れてしまうことも盗難の原因の一つになっている、と関口さんは語る。
このような盗難被害で圧倒的に多いのは、やはり財布など金銭を狙ったものだという。中でも、財布から現金のみが抜かれているケースが多い。他に実際にあったケースでは、ノートパソコンや電子辞書、腕時計等の貴重品、塾生会館に置きっぱなしにしてあった楽器なども被害を受けている。
こうした盗難被害に対して、大学側はどのような対策をとっているのだろうか。
「日吉メディア内では現在見回りを強化している。2人1組で館内を回り、貴重品を無防備な状態にしている学生や、かばんを置いて移動する学生に注意をし、置いたままのかばんがある席に対しては警告を書いた紙を置いている。盗難を警告するポスターも学生の目につくような位置に貼るようにしている」と関口さん。忘れ物防止のためにトイレの出口にも紙を貼っているという。
また、大学入試期間中には館内に防犯カメラの増設も予定している。
加えて今後は日吉キャンパス内でも見回りをすることや、塾生会館の各フロアに防犯カメラの設置することなどを検討しているそうだ。
しかし、どうしてキャンパス内ではこのような盗難被害が起きてしまうのか。それは、やはり塾生の意識の問題が大きいようだ。
「大学はさまざまな人が出入りでき、いろいろな人がいる公共の場としての側面もあるところ。守られていた中学や高校とは違う。かばんを開けっ放しにして席を立ってしまったり、サークル活動に行ってしまったりと、学生側の無防備な行動が多いのでは」と山崎さんと関口さんは語る。その上で、「自分の身は自分で守れるように意識を持って行動してほしい。サークルなどの団体で行動する際も、防犯意識を持ってもらいたい。そうするだけでも被害は減っていくはず」と解決方法も示してくれた。
サークルでの活動が増える春休みや、環境が変わり気持ちが緩みやすい新学期には特に意識を持ち、来年度はこのような事件が起きないようにしたい。
(廣田珠里)