先月24日、自然科学研究教育センター主催の講演会が、日吉キャンパス来往舎1階シンポジウムスペースで行われた。
本センター主催の講演会は今回で第14回となる。講師に京都大学人文科学研究所、特定助教の白井哲哉氏を迎え、「ゲノム研究の最前線―あなたは自分の遺伝子を調べますか?」をテーマに講演した。
講演会では最先端のゲノム研究と、それにより新たに問題となっているELSI(倫理的、法的、社会的課題)を中心に話が進められた。
白井氏は「2003年に13年に及ぶ解読が完了したヒトゲノムは、いまや2日で解読できる。また、当初解読に4200億かかっていたコストも今では10万を切っている」と解説。こうしたパーソナルゲノムの時代において、得られたゲノム情報を医療現場でどう活用するか、その情報は提供者と解析者、どちらのものかといったデータ帰属権利などについて話した。
講演の中で白井氏は科学リテラシーと批判的思考の重要性を訴え、「科学は確実な知識を生み出す。客観的な知識によって問題を解決する役割を担ってくれる。こうした考えが社会全体に広まっている」とし、科学への盲信に対し警鐘を鳴らした。
会場は一般の参加者も多く訪れ、ゲノムの機能、個人情報の不安や国際的なゲノム研究の実情についての質疑応答が行われた。