義塾は9月30日をもって6月1日から実施してきた今夏の節電を一旦終了した。今回の節電は、信濃町キャンパスで6%、それ以外のキャンパスで20%、義塾全体で15%の削減という目標を達成。おおむね当初の予定通りの実施に成功した。しかし今後も電力の供給量は減少するため、数年間は継続的により一層の節電を実施していく見込みである。                 (北村成・堀内将大)

東日本大震災による電力供給量減に伴い、義塾では今夏節電を実施した。今夏の節電は政府の要請を基に義塾では、慶應病院のある信濃町キャンパスで6%、それ以外のキャンパスで20%、義塾全体で15%の使用最大電力の削減を目標にし、6月1日から9月30日までの節電期間を終えてこの目標は達成された。6月から9月の電力消費量については昨年度比の約80%であった。

今夏の節電は義塾としても初めての取り組みであり、手探りの部分が多くなったが、おおむね事前のシミュレーション通り、またはそれ以上の結果が得られたという。

このように当初の目標を達成できた要因には、夏休みがあるという大学の特性がある。企業や公共団体で使用最大電力が伸びる7月末から8月の時期に、大学は夏休みに入るため、教室などの使用が無くなり使用最大電力は大幅に抑えられる。また、今夏は学事日程を変更し建物使用規制を実施。完全に使用しない校舎を作ることで、使用最大電力を大幅に抑えることに成功した。今夏は例年8月に各キャンパスで実施してきたオープンキャンパスも規模を大幅に縮小して実施したSFCと芝共立キャンパスを除き中止としたため、それに関連する電力も抑えられた。

大枠の部分では、全てのキャンパスで同様の節電対策が実施されたが、実験の多い矢上キャンパスでは電力制限にガイドラインを設けるなど、キャンパス独自の対策も採られた。大小さまざまな工夫により、事前の想定を上回る節電の成功につながったという。

当初の予定通り9月30日に夏期の節電は終了。先日発表された10月以降の節電対策は、今後の動向などを考慮して、利用者に支障のない範囲で運用を続けることにした。

冬期も政府が節電の要請をする可能性は高い。さらに原子力発電所がこの先、定期点検などで順次稼働を停止していくことが予想され、電力の供給量は長期的に減少していくことが考えられる。そのため節電は今後数年にわたっての検討となる。義塾もそれに備え、校舎内の照明を消費電力の少ないタイプに交換するなどの対策を継続的に実施していくということが検討されている。また、今夏は節電目標の達成に成功したが、今後は学校としての機能を維持しながら、節電を行っていく方策を考えていきたいとしている。