「それ分からなかったらググってみるといいよ」
現在、日本にGoogleのサーチエンジンは不可欠のものになっている。
本社はカリフォルニア州マウンテンビュー。東京では六本木ヒルズ森タワーに拠点を置くGoogleに、「雲の上の存在」と思いながらも憧れを持つ塾生は多い。
しかし就職活動の目標にしたくとも謎の多いGoogle。今回は慶大卒業後、Googleで働くプロダクトマーケティングマネージャー須賀健人氏、ソフトウェアエンジニアの向井淳氏にお話を伺い、Googleオフィスの雰囲気を覗いてみたいと思う。
「とにかく自由な会社です」と両氏は口を揃える。「服装、社内の雰囲気などすべてが大学のキャンパスみたいに自由。仕事が一段落すると、オフィスにある卓球台やビリヤード台で大会が始まることもあります」と向井氏。「タイムマネジメントが個人に任せられています。用事がある時は早く退社したり、朝の出社もその日の予定に合わせることもあります」と須賀氏も話す。
「遊びが先に来る無邪気な会社」。須賀氏がそう一言でGoogleを表すように、オフィスの随所にはユニークさと遊び心が光る。あらゆる楽器が置かれた防音の音楽スタジオ、デモ用オブジェの2㍍を越えるスマートフォン。ある階の会議室には一室ごとに山手線の駅名プレートが張られ、そこかしこにバランスボールや遊具、個性的なソファが置かれている。また、屋台をイメージしたパソコンスペース、ドラムセット型の日本語入力キーボードなど、東京オフィスならではの工夫もなされている。
「カリフォルニア州マウンテンビューの本社は一つの街のように広い。慶大の日吉キャンパスから矢上くらいまでかな。棟を移動するため専用の自転車やセグウェイがあります」と話す向井氏。一般の日系企業からは想像もできない自由さだ。
「一見遊んでいるように見えても、全てが合理性に基づいている。六本木の景色が一望できるビュッフェ形式の社員食堂、栄養ドリンクまで揃える自販機などは全て無料。自然と全社員が集まるので、違う部署の社員とも一緒にランチをして仲良くなります」と須賀氏。ランチタイムのおしゃべりから新しいアイディアが生まれて、プロジェクトが始まることもある。「遊びももちろん多いけれど、仕事で求められるものはとても大きい。社員は余裕に見えるが、裏ではかなりのスピードで大きな仕事をしている」と語る。
気になる社員の実像を伺うと「スーパーマンみたいな人が多い」と返ってきた。「仕事もバリバリこなすが、裏ではミュージシャンやマラソン記録保持者など、一芸に秀でた人が多い」。「とにかく合理性を求める。靴ひもを結ぶ時間も惜しむ気持ちからか、部署の皆が図ったように同じつっかけ靴だったことや、同じ自動掃除機を持っていた、といったエピソードもあります」と笑いながら話す両氏。
向井氏は理工学部出身。情報工学の分野で博士号を取得後、エンジニアとして入社した。「学生の時からフリーソフトを作ったりしていました。Googleなら面白そうなテクノロジーを学べそうだと思いました」。エンジニア志望の学生には「とにかく勉強してください。私もソフトを作る上で『これは授業で聞いたな』と役立てていました」とアドバイスする。
マーケティング部の須賀氏は法学部政治学科出身。幼いころからインターネットが好きで、パソコンを作ったり、IT関連の記事を読みふける毎日。学生時代、時間を無駄にした記憶はなかった。「こんなものがあったらいいな」。そう考えるものは全てGoogleのサービスだったことから、Googleに入るためにはどうすればいいかをずっと考えていたという。「今の部署では、銀行・コンサルなどさまざまな業界で経験を積んだ優秀な人たちがいます。各業界出身のトップレベルの仕事の仕方や、視点を学べることが幸せ」と話す。「Googleのプロダクトを使ったら、世の中全ての人が幸せになれる。そう本気で信じているのがGoogleの社員です」と力強く語った。
(西村綾華)