自然科学研究教育センター主催による講演会が、先月5日に日吉キャンパス来往舎1階シンポジウムスペースで行われた。

本センター主催の講演会は今回で第13回目となる。講師に国立極地研究所・総合研究大学院大学極域科学専攻教授の小島秀康氏を迎え、「南極隕石が教えてくれること」と題し講演が開催された。

小島氏は過去4回、南極観測隊の一員として隕石探査を行った。南極観測隊は、昭和31年に第1次隊が出発した。ほぼ1年に1隊のペースで50年以上観測が続いていることについて、小島氏は「自然現象は10年周期、100年周期で変わる。そのため、長い年月、観測を継続することが必要であり、今後も調査し続けなければならない」と説明した。

南極大陸は標高が高い所もあり、厚い雪や氷で覆われている。南極で氷床の上に落ちた隕石は氷の流れに乗り、山にせき止められ、山脈付近の氷がむき出しの状態である裸氷帯に集積する。日本の観測隊はこの隕石集積機構の推定をもとに、これまで1万7000個の隕石を発見し、世界最大の隕石コレクションとなっていると解説した。

小島氏は鉄隕石の実物を会場に回し、「隕石とは地球外の石であり、表面には地球に落下した際にできる溶けた跡が残っている。隕石のほとんどは、46億年前の太陽系創成期に形成されている」と説明した。

小島氏は、「地球は生きた星であり変化しているため、46億年前の石はない。しかし、隕石は地球にはない記憶を持っている。隕石を研究することで、太陽系の最初の頃のイメージを明らかにしたい」と語った。