3月21日、慶應義塾図書館で所蔵する「対馬宗家文書」が、江戸時代の外交を知る上で価値が高いものと評価され、国の重要文化財に指定されることが決まった。指定名称は「対馬宗家関係資料」で、その一部が東京国立博物館の特集陳列において4月22日から5月6日まで一般公開された。
対馬宗家文書とは、対馬藩主宗家に伝来した古文書・古記録。対馬宗家は室町時代から江戸時代にかけて日本と朝鮮との間で外交の実務と貿易を独占的に担い、日朝関係史において大変重要な役割を果たした。対馬宗家文書は、江戸時代の諸大名の中でも、質量ともに他を圧倒し、その数は十数万点ともいわれる。それらは種々の事情により分散し、現在は7機関で保管されている。
慶應義塾図書館では明治45年にかつて江戸の対馬藩邸で保存されていた記録類約1000点を有償で譲り受けた。そのうち朝鮮通信使来聘の計画段階から帰国までの様子が詳しく伝えられる『朝鮮通信使記録』のほか、『朝鮮往復書』『毎日記』を含む895点が重要文化財の指定を受けることとなった。
今回の指定により、慶應義塾図書館において所蔵されている重要文化財は計5件となった。