学生からの誕生日プレゼントは宝物

和やかな雰囲気の中で進められる片山ゼミ
和やかな雰囲気の中で進められる片山ゼミ

2010年9月、慶大から一人の教授が入閣した。法学部政治学科・片山善博教授。彼はどのような人物なのだろうか。片山ゼミの入野史也さん(政4)、井手了さん(政4)、多賀涼さん(政3)の三人にお話を伺った。
「意外とフランクな人ですね」と語る井手さん。「堅い人かと思ったけど、人当たりが良い方です」。多賀さんの印象は、「本当に朗らかで学生目線。優しい方」。「話好きな方で、その話も実務の経験に基づいているので面白い」のだという。
鳥取県知事時代は部下に厳しいことで有名だった片山教授だが、ゼミ内では学生に怒ることはないという。「悪いところは指摘するが、褒めるところは褒めてくれる。いい面を褒める方が伸びるだろう、というのが先生の考えです」と入野さん。基本的には褒めて伸ばすタイプなのだそうだ。
片山教授は学生思い、というのも3人に共通の印象だ。ゼミ生のために、入閣後も曜日を変更してゼミを続けている。ゼミの時間を取るため、極力土曜日には公務を入れないようにしているという。
またこんなエピソードもある。今年の誕生日に、多賀さんたち3年生は水色に犬柄のネクタイをプレゼントした。すると翌日、そのネクタイを付けて全国放送のテレビに出演。出演前にスタッフから「そのネクタイかわいいですね」と褒められ、学生からもらったものだと嬉しそうに話したという。そのネクタイは今でもよく身につけている。
入野さんによると、教授は政治学科の学生に教えるのも好きだったが、一般教養として政治学を教えることも好きだったという。その理由は「政治を知らない人に教えるのが向いている」から。「政治に触れないような学生に、どうすれば政治に興味を持ってもらえるかをアプローチするのが楽しい、とおっしゃっていました」。そんな教授の授業は、毎回大教室が埋まり私語も少ない人気授業だった。
片山教授は入閣後、何か変化があったのだろうか。「印象は全く変わりません。一旦授業になれば『先生』というイメージ」と多賀さん。「ゼミの雰囲気も変わらない。どちらかというと先生の先週の公務の話を聞けたりするので、前期に増して楽しい」のだそうだ。
教授は頭の回転が速く、知識が豊富なのはもちろん、何より意見がブレないと語る入野さん。ブレない理由は「ミッション」を大事にしているからだ。ミッションとは「使命」のこと。現在は官僚に対してミッションを注入している段階だという。「『ミッション』『住民』『図書館』が先生のキーワードですね」と井手さん。教授はかなりの読書家なため、図書館行政にも力をいれているのだ。
真面目で優しく意外にお茶目な片山教授。現役大臣の素顔を少し覗くことができた気がする。
(大竹純平)

紙面には載せられなかった片山教授のエピソードについて綴っていきたいと思う。
飲み会での片山先生は、本の話や仕事の話をすることが多いそうだ。本の中でも特に詩の話が多い。好きな詩人は中原中也や金子みすゞ。「人生で一冊は自分の心に響く詩集を持って欲しい」と語ったという。
ちなみに教授は飲み会には予定が合えば必ず参加する。大臣就任後も学生からの日吉での誘いを承諾。ところがSPから警備上の理由で止められたという。ただ三田ならば警備が可能ということで、今度三田で飲み会をするそうだ。
余談だが、片山教授は女子学生からの人気が高い。理由は「かわいい」からだそうだ。今回ゼミ生に話を聞く中でも「ギャップ萌え」という声が聞こえた。実際ゼミ生の比率も応募の比率を反映して女性の方が若干多くなっている。
片山善博研究会は今のところ次年度の募集をしていない。非常に残念だが、大臣としての職を全うし、再び研究会を受け持つ時を待とう。その時は入ゼミ倍率が今まで以上に高くなりそうだが。