昨年10月に行われた衆議院選挙において、慶應義塾大学卒の大空こうき氏が、最年少当選を果たした。大学在学中に孤独・孤立支援に取り組むNPO法人(あなたのいばしょ)を立ち上げ、テレビへのレギュラー出演や政府の孤立対策に関する会議の構成委員を務めるなど多岐に渡って活躍している大空議員に出馬の経緯・諸課題に関する見解を聞いた。
20代の議員は圧倒的少数 「若者の声 反映すべき」
ー今回、国会議員を目指された経緯についてお伺いしたいです。
私は、NPO法人(あなたのいばしょ)を立ち上げ、孤独・孤立対策や自殺対策に取り組んできましたが、現在、これらの問題への対策は対処療法が殆どなのが現状です。
そこで、 そもそもこのような問題を抱えなくていいような社会を作りたいと思い、国会議員を目指しました。
ー今回、最年少25歳で当選を果たしたということですが、ここにはどんな意義があると考えていらっしゃいますか?また、その意義を踏まえて河野太郎議員が先総裁選で公約として掲げていて話題にもなった被選挙権年齢の引き下げについてはどのようにお考えなのかもお聞きしたいです。
25歳であることには、さほど意義はないと思っています。ただし、20代の議員は圧倒的に少数で、世代の声を直接的に届けようとする若者が非常に少ないというのは永田町の中での問題だと思っています。
例えば年収の壁の問題に関連して、学生の労働についても様々な主張があり、学生の本文は勉強することで、働かなければならないような状況はそもそもおかしい、という議論もありますよね。しかし、私はモラトリアムであることも大学生の意義だと思っています。そうした学生の声も反映させていく必要があると考えています。
そういう意味では、20代の議員が少ないことは若者世代の意見が反映されにくいという問題を引き起こしていると私は思います。
被選挙権年齢に関しては、引き下げるべきであると思います。従って、ただ年齢を引き下げるたけではなく、新人議員でも国民からの期待に応えられるような仕事ができるような制度づくりを行なっていく必要があると思います。
「拉致問題風化させない」広報強化に取り組む
ー大空議員は拉致問題特別委員会に所属されています。北朝鮮による拉致問題は、歴代政権が最重要課題としながらも未だに解決の目処はたっていません。今後拉致問題について具体的にどのような取り組みをされていくおつもりですか?
これに関しては、風化を狙っている北朝鮮に対して若い世代が拉致問題に関心を持ち続けることが非常に重要だと思います。従って、今国会の中で最年少の私が、拉致問題に関心を持ち、そして拉致問題特別委員会に所属しているという事実そのものがメッセージになると思っています。
また、若い世代の人たちへの広報が足りてない部分があると考えており、今まさに政府の拉致問題対策本部と広報戦略などの改善について話し合いを始めているところです。
例えば、アニメ「めぐみ」の上映やコンテストを実施していますが、さらなる広報体制の強化を図り、同世代の人たちに対してアプローチしていくことだと考えています。
ー憲法改正は未来の日本を担っていく私達Z世代の人々にも、大きな影響を与える非常に重大な問題です。そこで憲法改正についての意見をお聞きしたいです。
憲法改正につきましては選挙時にも語っておりますが、 今の時代に合った憲法にしていくべきであると考えています。例えば環境権や緊急事態条項が議論になっていますが、それらに関して制定時は全く考慮がされていませんでした。
未知の事態が発生した時に 国家としてルールに基づいて統治していく仕組みが本来は必要だと思いますので、今の時代にあった憲法に我々が変えていく必要があると思います。
これからの時代にあった憲法にするべく、党内でも具体的な議論が始まっています。
ー現在、大空議員は衆院の最年少議員です。歴代の最年少代議士の中には、塾員に限っても今の石破首相や橋本龍太郎元首相、小沢一郎元自治相など政界の最高実力者に登りつめ、ご自身の理想とする政策を実現させたり、今まさにさせている最中の錚々たる顔ぶればかりです。 ずばり大空議員は将来的に総理大臣を目指す意思はございますか?
まずは次の選挙に勝つ、それだけです。
ー先日、兵庫県知事選で齋藤知事が再選されました。彼はパワハラで県職員を自死に追い込んだのではないかという問題で議会において追求されていました。しかしSNS上で支持者や一部政党によって自死した県職員について真偽不明のセンセーショナルな情報が盛んに喧伝され、当選しました。「ポストトゥルース」の波がついに日本に来たことを体感させられました。 これらを踏まえ、Z世代の代議士として、SNSと選挙及び民主主義のあるべき姿、そしてその為に大空議員が実行していきたい事を教えてください。
この問題に関しては、公職選挙法が現在のデジタル社会に対応していないことに加え、従来の選挙とSNSを使った新しい選挙の移行期だからこそ、このような問題が生じていると思います。
従って、まずは公職選挙法を今の時代にあったものに改正するとともに、デジタル化も更に進めていくべきだと思います。
また、SNSは、たくさんの小さなコミュニティが集まったもので、それぞれが自分達の関心や得意分野で議論を進めています。そこで得られた情報を使い、コミュニティ内で影響力を広げるだけでなく、他の近いコミュニティにも情報を広げていく仕組みがあります。このような仕組みを踏まえて、SNSを駆使した選挙が主流になってきたのであれば、候補者はSNSにおける戦略策定が必須となるでしょう。