今回は、英米文学専攻の佐藤光重先生にインタビューを行い、学生の主な研究内容や卒業後の進路などについて伺った。 

 

―英米文学専攻が「看板専攻」とよばれる理由

英書講読は慶大創立以来の伝統があることや体系化されたカリキュラムにその所以があるようだ。慶大の創立者である福沢諭吉は、もとより漢文を学んでおり文学研究に通じていた。留学先では洋書を大量に買って帰り、訳読に専念しては現在にまで流通する訳語を考えたという。こうした福沢および慶大の学生が持ち帰った洋書は現在も塾内で貴重書として保管されており、英米文学研究が大学創設以来続いてきたことがわかる。 

また、英米文学専攻では英語史・言語学・英文学・米文学の四分野を必修科目とし、英語を多面的に学ぶことができる。英語は学生にとってなじみのある言語だが、専攻のカリキュラムを通して「英語が言語ツールとしてだけではなく、歴史とともに変化しつづけるダイナミックなものとして再認識できる」と佐藤先生は話す。伝統があり、英語の奥深さを実感できることが英米文学専攻の魅力なのだ。 

 

―英語を得意としていない学生もいるのか?

佐藤先生は、「英語を得意な学生が多いという印象はない」という。得意不得意は前提条件ではなく、何よりもモチベーションを持っていることが大事だそうだ。また、英米文学専攻で伸びる学生の特徴として、「ふとしたことから面白い問いかけを見出せる学生や、得意不得意関係なく、一生懸命頑張る学生が挙げられる」と佐藤先生は語る。文学部が培うのは「読みのプロ」であり、読むことこそが大事なので、英米文学専攻に進みたい学生は、1年生のうちから本を読む習慣をつけるべきだという。 

 

 

―学生の主な研究内容

歌や映画やドラマ・ニュースなど、英語はかなり身近なところにありふれている。それを研究テーマにするとうまくいきやすいそうだ。研究テーマを深めるきっかけとしては、専攻の先生と相談して自分の関心と接点がある研究を探し、個人的な興味と学問的な研究を関連づけるとよいという。卒業研究と聞くと敷居の高い響きがあるが、興味関心のなかに隠れた素朴な疑問に気づいてみることが出発点になるとのことである。 

 

―卒業後の進路や就職先

「文学部は就職に弱い」と聞くことも多いだろう。実は慶大文学部、特に英米文学専攻は素晴らしい就職実績を誇っており、少人数クラスで議論することも功を奏し、卒業後の進路はかなり良好だそうだ。英米文学に関係する職に就く学生はそこまで多くなく、商社やコンサルティング会社・保険関係、東京都庁、IT関係に進む学生までいるそうだ。もちろん直接知識を活かし、私立進学校や大学へ教員として就職する学生もいる。大学院の修士課程を経れば私立学校の教頭や校長も目指せるとのことである。 

 

前田真子村上怜