横浜市に小のみ開設へ
慶應義塾は先月21日、横浜市青葉区に新しく小学校を開設すると発表した。開設予定は2013年4月。義塾は創立150年記念事業の一環として小中一貫校を開設するとしていたが、2009年に財政状況の悪化により記念事業計画全体の見直しを行う中で開設を延期。今回の発表で小学校を新設し湘南藤沢中・高等部との連携を図り、小中高一貫教育を推進していくとした。工事の着工は来年の予定だ。(大竹純平)
慶應義塾は創立150年記念事業の一つとして、新一貫教育校の開設を計画。横浜市による青葉区学校予定地活用事業者として2007年11月に公募により採択され、2011年4月に小中一貫校の開設を予定していた。
しかし、2008年に起こったリーマンショックの影響にともなう財務状況の悪化により、2009年7月に事業計画の見直しと小中一貫校開設の延期を発表。先月21日に、小学校のみを開設し、湘南藤沢中・高等部と連携して、小中高一貫教育を行うという形で事業計画の変更を発表した。
事業規模は、小中一貫校から小学校のみの建設となったため、建物の規模は縮小される。建設費用について、長谷山彰常任理事(文学部教授)は「当初計画の掲げる高い教育のレベルを下げない範囲でどの程度の節減が可能か現在検討中である」と説明する。
新しい計画では中学校の開設及び慶應義塾高校・慶應義塾女子高校などへの進学がなくなり、進学先は原則的に湘南藤沢中・高等部のみとなる。この変更の理由としては、財務状況の悪化をきっかけとして一貫教育のあり方を見直した結果、タテの教育の一貫性を重視したためだとしている。
一貫教育とは小学校から大学(大学院)までを指す。また現在、世界的な流れの中で義塾全体の教育研究水準のさらなる向上が求められており、教育の一貫性を強化する必要があった。各一貫教育校はそれぞれ特色ある独自の教育を展開しており、これまで多様な人材を輩出してきたが、高校までは生徒が進学先を自由に選べるなど、教育の一貫性については必ずしも十分ではなかった。
そこで、横浜市青葉区を起点として、日本の初等中等教育を先導する新しい小中高一貫教育を展開していきたいと考えた。そのためには、一貫教育校の中ですでに2つの学校段階で一貫教育を行ってきた実績がある湘南藤沢中・高等部と新しい小学校の連携による小中高一貫教育の実践が最も良いと判断した。
また、両校は共に神奈川県内にあり、地理的にも親和性が高いといえる。
新しい小中高一貫教育体制では、両校間での教員の持ち上がり、情報共有、相互指導、一貫したカリキュラムの構築など、教育面での連携を目指していく。同一法人で大学まで連なる小中高一貫教育を実施している学校は珍しく、義塾としてはそこに共鳴してくれる人の応募を期待しているという。
湘南藤沢中等部の募集及び人数構成について長谷山常任理事は、「人数構成は変わると思うが、一般による入学形態もなくならない」と話した。数のバランス及び湘南藤沢中等部の収容定員についてはこれから検討していく。
小学校の募集定員は、2009年に発表された120人より多くなることはないが、具体的な人数についてはこれから検討していく。
新しい小学校の最寄り駅は、東急田園都市線の江田駅となる。