学生による政策立案コンテストが毎年、関東で開催されているのをご存じだろうか?全国から集まった様々な大学生たちが、一つのテーマをもとに日本が今後採るべき政策について7泊8日という長期間にわたって徹底的に考え抜く。そんな日本最大規模の政策立案コンテストを企画、運営しているのが、学生団体GEILである。今回は、その広報を担当している南悠仁さんに取材をした。この記事が、皆さんが政策や社会問題について考えるきっかけになってくれることを願う。

 

【学生団体GEILのロゴマーク】

 

―――学生団体GEILはどのくらいの人数で運営されているのですか?

GEILは様々な局や課、総務で構成されていまして、総務が代表1名、副代表2名の計3名です。また、局が4局ありまして、それぞれケース局、運営局、広告局、渉外局がございます。各局に局長がついておりまして、局長が1名、副局長が局に応じて1~2名おります。課は財務課のみで3名で運営しておりまして、そのうちの1名が統括です。兼局もOKなので全員の人数と合うわけではないですけど、局1つにつき大体10名くらいですね。

 

―――役職についていない人も含めるとどれくらいの規模になりますか?

GEILは1年春に入会すると、同年の夏にあるコンテストの後、つまり1年秋に局などに入る形になります。私は今2年生で、私たちの代は2024年度の執行代なので24代っていうんですけど、今年入ってきた25代はまだ局に所属せずに活動していますので、2つの代合わせて110名前後ですね。

 

―――活動頻度はどれくらいですか?

基本的に毎週金曜日に会員全員参加のミーティングを行います。それ以外にも各局の活動が局ごとにあります。GEILは東大と上智大に部室をいただいているので、基本は上智大で教室を借りてミーティングを開いています。110人集まれる部屋が結構あるんですよ。まあ、毎回110人来るわけじゃないですけどね(笑)。

 

―――活動の軸となる政策立案コンテストはどのように行われているのでしょうか?

コンテストは行っておりまして、定員は80名で全国から募集しています。例年開催は8月末~9月上旬で、今年は8月25日の日曜日から9月1日の日曜日までの1週間、会場は東京の代々木にある国立オリンピック記念青少年総合センターで行います。基本的に合宿形式で、皆で寝食を共にしてもらいます。毎年ケーステーマ(政策のテーマとなるもの)を定めていまして、それに沿った政策立案を行っています。今年のテーマは「災害」になっているんですけど、去年は「科学」であったりとか、その前は「多文化共生社会」であったりとか、色んなテーマを決めてやっています。当日は4人1組になって活動します。合宿期間中はイベントが何個かありまして、開会式を行った後に有識者の方による基調講演を行う年が多いです。その後から毎日政策案について考える戦略策定を行いながら、実際に霞が関から官僚の方をお招きして行う政策立案セミナーや、こちらから霞が関に訪問する官庁訪問などがあります。最終的に立案した政策案を審査する予選、決戦のプレゼン会が最後の8日目にあるという流れになります。

 

【政策立案コンテストの集合写真】

 

―――今年のケーステーマを「災害」にした理由は何ですか?

ケーステーマは執行代が考えます。社会課題等を考えたうえで年明けに決めるというスケジュールの中でケーステーマの選考を去年からしておりまして、今年初めに能登半島地震が起きたことも理由の一つとなって、他にも様々な事柄を考慮した結果、「災害」がテーマになりました。

 

―――政策立案コンテストを運営する理念は何ですか?

GEILのスローガンは、「政策を通じて人と社会を変える」です。GEIL発足から26年この考えが根底にあると思います。大学生が政策を立案することで未来が変わるかもしれないし、参加する学生の内面的な成長にもつながると考えています。受験戦争にある程度勝ち抜いてきた大学生でも、社会課題に対して向き合ったことがある人は少ないはずです。政策立案コンテストを通じて、そのような人たちに考える場を提供するというのが、GEILの活動理念ですね。

 

私たち今の大学生が生まれる前から政治や政策、社会課題への無関心が問題視されていて、そのような状況下で作られた団体が学生団体GEILなのだ、と南さんは語る。発足から26年経った今でも、政治離れの問題は解決していないように思える。日本の政治や社会問題に少しでも関心のある慶應生は、この記事を読んだことをきっかけに政策立案コンテストに応募し、自分の知見をさらに深める機会を得てみてはいかがだろうか。

 

 

佐々木 義継