5月11日、落語研究会(以下落研)の「三年の会」が浅草東洋館であった。落研が東洋館で公演を行うのは昨年に引き続き、2回目。東洋館は昭和26年に開業した伝統のある劇場。当日は多くの人が会場に詰めかけ、舞台で繰り広げられる独創的な落語に魅了され、笑いの世界に引き込まれた。演目の終了後、演者たちが舞台に姿を現すと会場は割れんばかりの拍手に包まれた。2時間半に及ぶ公演は、大盛況で幕を閉じた。
「浅草演芸ホール」の真上、「浅草東洋館」入り口に長蛇の列ができていた。東洋館は映画監督・ビートたけし氏、お笑いコンビ・U字工事ともゆかりのある演劇場。落研は去年に続き今年も同劇場にて寄席を開き、2年目となる伝統を繋いだのだった。今回からは和楽器サークル「竹之会」、口笛サークル「まうふる」も共演、慶應大学の芸術が集結した。
落語では演者一人が複数人の役柄を演じ分け、話の場面を聴衆に想像してもらうなどの難しい技が求められる。落研の演者たちは表情、声色、移動する動作などで人物や場所の違いを出すだけにとどまらず、大声で笑う人物と大声で泣き叫ぶ人物をつなげて演じることで対照的な印象を創出するなどの高度な技も披露された。小道具の使い方も独特であり、巧かつ斬新であった。
また演目は有名古典や演者自らの創作落語の他に、古典落語のストーリーを現代の舞台に作り直したものも多かった。それがもともと古典落語だったとはインタビューするまでわからなかったほど完璧に落とし込まれていたものまである。舞台を現代政界に移すことでストーリーが分かり易く、より面白く改良されていた。出演した馬網さん曰く、「落研は大学落研史上初めて会員自らが落語を公演するようになったサークル。自分でネタを作ってきた歴史がある」だそう。もともと一般的に大学落研は落語家を招いて聞く活動が中心だったそうだ。
集客はSNSを使って行われた。落語研究会のXやInstagramでは部員紹介が行われている。紹介文は部員同士でお互いのものを考える。
(木下優希)