日吉メディアセンターは6月17日(月)から「パレスチナを知るブックフェア」を開催している。入って左のスペースに、パレスチナ関連の本が置かれた棚が設置されている。

 

ニュースでは日々イスラエル軍によるガザでの虐殺が報道されている。

心を痛めながらも、「パレスチナ問題は複雑でよくわからない」「何から学べばいいのだろう」と感じている学生は多いだろう。

専門家は、昨年10月7日のハマスの奇襲攻撃の背景にあるのは、イスラエルによる長年にわたるパレスチナへの民族浄化と占領であると指摘する(※注)。しかし報道では「ユダヤとイスラムの宗教対立」や「暴力の連鎖」という言葉で、問題の本質が語られないことが多い。

このような状況を受け、塾生がパレスチナ問題について多角的に学ぶために、パレスチナに関心をもつ学生と教員が、入門書から専門書まで幅広く書籍を集めた。今後も展示資料を追加していくという。

現在貸出中の資料や、図書館での所蔵が難しい資料に関しては、教員の私物が展示され、パレスチナ関連のさまざまなジャンルの本が一望できる。「どんな本を読めばよいかわからない」という学生にとって、良質な指標となるはずだ。

主な展示資料は、早稲田大学教授の岡真理氏によるガザ入門書『ガザとは何か:パレスチナを知るための緊急講義』、同氏のエッセイ『ガザに地下鉄が走る日』、ガザ支援の現状やパレスチナの政治、文化、経済など、理解に幅広く役立つ『パレスチナ/イスラエルの〈いま〉を知るための24章』、人種やジェンダー、LGBTQ+など、複数の属性が組み合わさることで生じる特有の困難を問う枠組みである、”インターセクショナリティ”を題材とした『交差するパレスチナ:新たな連帯のために』、パレスチナの子どもたちをめぐるノンフィクション『ぼくの村は塀で囲まれた:パレスチナに生きる子どもたち』、ホロコースト生還者の両親をもつユダヤ系アメリカ人研究者サラ・ロイ氏による『ホロコーストからガザへ:パレスチナの政治経済学』、パレスチナの民族衣装に施される刺繡と、その担い手であるパレスチナ人女性に焦点を当てた『パレスチナ刺繍』、世界各国の人権運動の歴史をわかりやすく紹介した『プロテストってなに?世界を変えたさまざまな社会運動』などがある。パレスチナを知るための本や映画を紹介するパンフレットも用意している。

 

パレスチナを知るための本や映画を掲載したパンフレットもある。だれでも持ち帰ることができる

開催期間は7月31日まで。現在もガザでの虐殺は続いている。どんな学生も、ぜひ立ち寄ってみてほしい

 

※参考:

岡真理『ガザとは何か:パレスチナを知るための緊急講義』大和書房、2023

イラン・パぺ『パレスチナの民族浄化:イスラエル建国の暴力』法政大学出版局、2017

サラ・ロイ『ホロコーストからガザへ:パレスチナの政治経済学』青土社、2009

ー3冊ともにブックフェアにて展示中

山浦凜