義塾で行われている通信教育。普段は自宅で、夏にはスクーリングとしてキャンパスで講義を受講する。
通信教育という、通学生とは違ったスタイルで勉学に励む通信生は、どのような想いで勉強し、通信教育で学んだことをどう活かしているのか。
通信生の心内を紐解き、通信教育ならではの魅力を探る。
第1回目は、女優の川上麻衣子さん。
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「知る喜び」
自分は何に興味があって、何を知りたいのか。自分にとっての「学び」の意味を見つけ、自発的に学ぶことで学びの楽しみが自然に噛みしめられる。それを「知る喜び」と川上麻衣子さんは語る。
通信教育課程に在籍した経験を持つ川上さん。幼い頃より芸能界に入るが、芸能界一本に絞ることなく、女優業と学業の二足の草鞋を履く生活を送った。
「今からでも通信生としてまた勉強してみたい」
そう語るのは、通信教育課程に在籍していた際、「知る喜び」が感じられたからという。
「若い頃に、自分が本当に知りたいことが見えないことってあると思う。何をしたいのか模索する時期なのかもしれないけど、時を経て本当に自分の学びたいことが見えてくることもあると思う。そうしたら、それを知りたい、学びたいという意欲が自然に溢れてくるんですよね。『知る喜び』を感じられるということかな」
現在、通信教育課程に在籍する通信生の多くは、会社員(出典・慶應義塾通信教育課程HPより)。仕事があるなか勉学に勤しむ時間を作らなければならない人が大多数である。
また、自分で時間をやりくりしながら進める通信教育のカリキュラムは、自分で自分に鞭打たなければ進まない。「自分との戦い」と川上さんが言うように、「自分の時間」で自由に進められるからこその苦労もある。
それでも通信教育で学ぶことに魅了される社会人通信生。
「仕事柄、演劇の授業も楽しかったけど、仕事とは全く関係のない天文学を学んで、その世界観から受けた刺激を演技に活かしたり。仕事と勉強の相乗効果かな。自分が知らないことがこんなにあったんだって分かると、すごく知りたい欲が出てきて」
学生時代とは違った立場で気付くこと、見えてくるもの、知りたいこと。
それら、本当に自分が知りたいことを掘り下げ、「知る喜び」を噛みしめる。
「学び」は学生時代だけのものではない。
仕事をしている、家庭を持っている。どんな境遇にあろうと、自分にとっての「学び」を追求する想いがあれば、いつでも勉強できる。
「2倍大変なわけじゃないんです」
仕事と勉学を両立する忙しい生活を送ってもなお、そう語る川上さん。
「知る喜び」を知った人は強い。
(曽塚円)
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