雀士たちが黙々と手元の牌に向き合い、リアル麻雀ならではの臨場感を楽しむ。中庭の騒がしさと打って変わって、大学院校舎の342-B教室には張り詰めた空気が漂っていた。

 

麻雀研究会(MJKT)は23日から26日までの各日、三田祭で模擬雀荘を開いた。模擬雀荘は名前の通り雀荘を模した出し物。会場を訪れた人は、偶然居合わせた他の来場者と1局200円で卓を囲むことができる。さらに仲川翔プロ、山田独歩プロ、梶梨沙子プロ、麻宮あかねプロ、そして園田賢プロと、著名な麻雀プロのゲストを日替わりで招待した。1局300円で、模擬雀荘に招待されたプロと勝負することも可能だ。本紙が取材に訪れたときは、平日の24日にもかかわらず待ち列ができるほど賑わっていた。

麻雀研究会代表の橋本さんと、取材当日に招待されていた山田独歩プロに話を聞いた。

 

麻雀研究会代表 橋本さん

 

―模擬麻雀を出店されている経緯や出店にあたっての意気込みは?

麻雀研究会の目的として、「健康麻雀」の普及がある。「健康麻雀」の普及にあたって、麻雀にどうしても付いてまわるマイナスなイメージを払拭するため、競技としての麻雀を広めていきたい。

実際の雀荘は初心者にとって入りにくく、リアル麻雀を始めるハードルは高いと思う。初心者や若い人でも入りやすい雰囲気を作ろうと思っている。

 

―プロリーグがインターネットで配信されるなど、競技としての麻雀が広まっているように感じる。模擬雀荘は昨年も開催されていたが、客層に変化はあったか?

若い人や女性が増えている。また、オンラインの麻雀ゲームをプレイしたことがあるが実卓のリアル麻雀は初めて、という人も増えたというイメージがある。

 

―オンラインの麻雀ゲームなどから麻雀を始める人が増えていると思うが、リアル麻雀ならではの良さは?

対戦相手とコミュニケーションを取ることができること。麻雀を打ちながら相手と話すことができるのは、リアル麻雀ならではだと思う。

 

―客の実力はどうか?初心者でも参加できるか?

お客さんはとても強い人から初心者まで幅広くいる。初心者であっても受付で申し出てもらえれば、部員が指導したり対局前に基礎からルールを解説したりと、手厚くサポートしている。リアル麻雀の経験者でも、点数計算などの難しい部分は研究会の部員が担っている。初心者だから、リアル麻雀は初めてだからといわず、気軽に来てほしい。

 

―記者も打ちたいので、取材後に並んで参加していいか?

もちろん!賑わっていて少し並ぶが、ぜひ。

 

取材後、記者が山田独歩プロと同卓で1局打たせていただいた。対面に本物のプロがいる対局は非常に緊張したが、いい経験になった。プロの存在感は、やはり一般の参加者と違うように感じる。一目見ただけで点数を計算できるところも、さすがプロだと思わされた。

 

山田独歩プロ

 

―模擬麻雀の招待を受けて今日参加された経緯は?

学生麻雀連盟の理事長を務めていて、学生麻雀甲子園などの大会も主催している。こういった(学生の競技麻雀に関する)オファーはなるべく受けるようにしている。MJKTさん(麻雀研究会)とは普段から関りが深い。

 

―模擬雀荘の参加者の印象は?

実力や麻雀を打ち慣れているかどうかは人によってまちまち。「今日リアル麻雀初めて」という人がいるのは嬉しい。オンラインの麻雀ゲームを嗜む人が増えていると思うが、その方々が実牌を使うリアル麻雀を始めるのには勇気がいる。リアル麻雀を始めるきっかけとして、学園祭を訪れたついでに参加できる模擬雀荘の企画はとてもいいと思う。

 

―リアル麻雀の良さ、面白さ、楽しさは?

臨場感。リアル麻雀では当たり前だが目の前に相手がいる。ネット麻雀には離れていても手軽に対局できるという良さがあるが、対戦相手と顔を合わせられないのが物足りない点だと思う。

プレイヤーの表情や息遣いなどの臨場感を感じることができるのが、リアル麻雀ならではの楽しさだと考えている。

また自分で牌を手に取って自模る(手元の牌に加える)緊張感も、麻雀ゲームにない面白さ。

 

―麻雀をプレイする層の変化についてはどう思われるか?

競技人口の内訳としてはまだまだ男性が多い。一方でこれから麻雀を始めたいと考えている初心者向けのイベントでは、女性参加者のほうが男性より多い場合がある。麻雀のプロリーグのファンにも女性が多いと感じる。そもそも(麻雀は)テーブルゲームなので、男女差なく戦うことができる。最近では、インターネット配信者の麻雀配信を見て麻雀に興味を持ったという人が多い。インターネット麻雀ゲームが、リアル麻雀の入り口の一つとして影響を与えていると思う。

 

麻雀ゲームには麻雀ゲームの、リアル麻雀にはリアル麻雀の良さがある。実際に雀荘で打ってみると、麻雀の面白さを再発見できるかもしれない。

 

竹之内駿摩上村健太