漫画家の萩尾望都氏が先月11日、日吉キャンパスで開かれた第30回人間教育講座(主催・理工学部)で講演した。萩尾氏は代表作に『マージナル』『トーマの心臓』などが挙げられる、少女漫画家界の大御所。今回、「物語が生まれるとき」と題した講演の中で、萩尾氏は物語の作られたきっかけを、いくつかの作品の解説を交えつつ講義した。
講演の中で、萩尾氏は物語作りの過程を説明。「物語を作ることは、自分という木を育てていくこと。様々な人の話や映画などが肥料になって、美しい花が咲く」と語った。
例えば、吸血鬼で年をとらない少年の生涯を数百年に渡って描く『ポーの一族』は、元々服飾デザインに興味を持っていた萩尾氏の、「様々な時代の美しい衣装を描きたい」という思いと、石ノ森章太郎の作品である『きりとばらとほしと』に出てくる吸血鬼の設定が結びついて生まれたのだという。
講演の最後は、「若いうちのエネルギーは本当に貴重。今のうちに一生懸命好きなことをしてください」と、学生たちに対するメッセージでしめくくった。