10月15日、連合三田会大会にて、シンガーソングライター尾崎裕哉さんのスペシャルライブが開催された。尾崎豊さんの長男として生まれた彼は、慶大環境情報学部に入学後メディアデザイン研究科修士課程を修了している塾員だ。会場となる日吉記念館は後方まで埋め尽くされた。
ライブは「僕がつなぐ未来」で幕を開けた。ステージ中央でギター一本をかき鳴らす姿、記念館の隅々まで伸びる声が一気に会場を引き込んでいく。客席からは自然に手拍子が。尾崎さんの連合三田会ステージ出演は2017年開催ぶり。「今年が学部卒業10年目で、そのこともあってまた呼んでいただけたのかな」とほほえむ。
2曲目は初出演の2017年にリリースし映画主題歌にもなった「思い出の曲」である「Glory Days」。決意を宿すかのような力強いフレーズが響き渡り、会場の空気ががらりと変わる。
「慶應にとって、今年は塾高が甲子園優勝しためでたい年だと思います。僕個人的にも今年はゆかりの年で」。2023年は父・尾崎豊さんのファーストアルバム『十七歳の地図』がリリース40周年を迎える年。すなわち「I LOVE YOU」も40周年だ。息子の彼もライブで歌ってきた名曲だが、今年4月にようやくカバーを音源化した。「(自分は)父の声に似ていると言われてきたが、この曲をライブで歌っていく中で次第に自分の声になっていった。今のうちに形にしておきたいなと音源化を決めた」。長く愛される名曲に敬意を示した後、3曲目「I LOVE YOU」へ。一際大きく長い拍手が降り注いだ。それも鳴りやまぬままに「15の夜」が続き、青少年の苦悩を切実に歌う名曲に皆が息をのんだ。
ライブの最後は同じく父の楽曲「卒業」で締めくくられた。「当時の尾崎を知っている人がカラオケで「卒業」を歌って、でも俺らは尾崎から卒業できねえんだよなあ!って言うんです。それがこの曲の好きなところです」。1音1音を慈しむように奏でるその姿に心打たれた観客は多かったはずだ。
尾崎さんは今秋にライブツアーを控える。東京公演のうち、現在は11月23日日本橋三井ホール開催分のチケットが入手可能だ。
【セットリスト】
- 僕がつなぐ未来
- Glory Days
- I LOVE YOU
- 15の夜
- 卒業
(三尾真子)