8月6日に開幕した全国高等学校野球選手権大会(夏の甲子園)。神奈川県代表として出場した慶應義塾高等学校は、全国優勝という輝かしい結果を残した。そこで、今回の記事では2回戦の対北陸戦から決勝戦の対仙台育英戦までの各試合の結果を振り返ってみる。
2回戦・北陸高校
(慶應9―4北陸)
甲子園初戦となる相手は福井県代表の北陸高校。初回、4番加藤右悟の適時打で1点を先制する。続く2回〜5回にも打線が爆発し追加点を奪い、試合の主導権を握った。投げては先発の小宅雅己が7回被安打4、無失点の好投をみせ、続く投手陣も失点を許したものの粘りのピッチングでチームを勝利に導いた。
3回戦・広陵高校
(慶應6―3広陵)
次の対戦相手となったのは広島県代表、広陵高校。初回、5番延末藍太のレフト前への適時打で2点を先制する。3回にも延末のファーストゴロの間にランナーが生還し、リードを広げる。7回に1度は追いつかれたものの、10回のタイブレークで相手の悪送球により勝ち越しに成功、その後も延末の適時打で点差を広げた。投げては先発の小宅雅己が6回2失点の粘りのピッチングをみせ、最後は松井喜一が9回、10回を無失点に抑えて準々決勝へ進出した。
準々決勝・沖縄尚学
(慶應7―2沖縄尚学)
準々決勝の相手は、沖縄県代表の沖縄尚学高校。慶應は2点を追う6回、沖縄尚学のエース東恩納から4番の加藤が走者一掃となる適時二塁打を放ち、一気に逆転に成功する。続く5番延末、6番渡辺憩も適時打を放ち、繋がりのある打線で7回までに一気に7点を奪った。投げては先発の鈴木佳門が5回2失点と粘り、続く松井、小宅も失点を許さない好投をみせた。投打の粘りをみせた慶應は、103年ぶりとなる準決勝進出(ベスト4)を決めた。
準決勝・土浦日大
(慶應2―0土浦日大)
慶應の103年ぶりとなる準決勝の相手となったのは、茨城県代表の土浦日大高校。ゲームが動いたのは2回の攻撃、2死塁の場面から9番小宅がセンターへ適時打二塁打を放ち、先制に成功する。その後はしばらく互いのスコアに0が並ぶ試合運びとなったが、慶應は6回の攻撃、1死3塁の場面から主将の大村昊澄がライト前へ適時打を放ち、貴重な1点を追加した。投げては、先発の小宅が初回から点を許さない好投をみせ、終わってみれば9回118球被安打7の無失点完封勝利を飾った。貴重な2点と安定感のあるピッチングが絡み合って掴んだ勝利は、103年ぶりの決勝戦へと繋がる大きなものとなった。
決勝・仙台育英
(慶應8―2仙台育英)
8月23日に開催されたのは、慶應にとって103年ぶりとなる決勝戦。その相手は昨年度の夏の甲子園優勝、今年度の春の甲子園で慶應を破る成績を残した仙台育英高校だ。勝てば慶應の107年ぶりの優勝、負ければ仙台育英の連続優勝がかかる歴史的試合である。試合は劇的な展開から幕を開けた。試合開始直後、1番丸田湊斗のライトへの先頭打者本塁打で先制に成功する。決勝戦の先頭打者本塁打は史上初の快挙だった。続く2回の攻撃も、丸田がライト前へ適時打を放ち、点を追加した。そして、5回の攻撃で慶應打線が爆発しビッグイニングとなった。2死1塁から7番福井がレフトへ適時二塁打を放つと、続く8番大村が四球を選び、9番代打安達英輝がセンター前へ適時打を放った。攻撃は冷め止まず、1番丸田の相手の失策、2番八木陽のライトへの適時打で一挙5点を奪った。投げては先発の鈴木佳門が4回2失点の粘りのピッチングをみせ、続く小宅も5回無失点の相手に流れを渡さない好投をみせた。そして、9回裏2死の場面で打ち上がったフライをレフトの渡邉千之亮がキャッチし、107年ぶりとなる慶應義塾高校の夏の甲子園優勝が決まった。
さいごに
この夏の慶應義塾高校の快進撃は、塾生を含め多くの人に勇気を与えた。
「日本一」を目標に掲げるこのチームをこれからも応援し続けたい。
(片山大誠)