「引き出し作るため新聞や本に触れて」
「夏を制する者は受験を制する」、「夏は受験の天王山」─こう表現されるように、受験生にとって夏をどう過ごすかは重要なポイントとされる。
今年も多くの来場者が予想される慶大のオープンキャンパスで本紙を手にする高校生も少なくないだろう。そこで、かつて同じ受験生として夏を過ごし、今は大学生活を送っている現役慶大生にインタビュー。受験体験を振り返ってもらった。
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沖縄県出身の與那覇あかりさん(法3)はFIT入試合格者。
高校時代は吹奏楽部に所属し、学生指揮を務めていた。また、沖縄の文化保護のために、地域の活動にも積極的に参加していたそうだ。
「人と話すこと、文を書くことが好きだったので、AO入試が自分に合っているのではないかと考えました」と話す與那覇さん。調べているうちにFIT入試を知る。「選考内容が魅力的で面白そうだと思った」ことから、FIT入試受験を決意した。
しかし既に時は高校3年生の8月。出願期限が近く、焦って準備を始めたという。入学後周囲に話を聞いてみると、合格者の多くは6月から準備を始めていたそうだ。「塾へも通っていなかったので、特別な対策はしていませんでした。念入りな事前準備が必須。早目に動くことをおすすめします」
入試を、「手ごたえはなかったけれど、思っていた通り面白かった」と振り返る。また、高校生活で培った積極性や協調性が、自然と活かされたのではという。
AO入試を考えている高校生に、次のようなアドバイスを送る。「新聞や本に触れて、引き出しを多くつくること。そして躊躇せず様々なことに挑戦して下さい」
勉強時のメリハリを大切に
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静岡県出身の杉山理恩さん(理3)は一般入試で現役合格した。
「高校生活には満足しています。本当に楽しかった」と話すように、バトミントン部の活動、文化祭などの学校行事に、最後まで手を抜くことはなかったそうだ。
受験を意識し始めたのは、2年生の夏。そこから1年間は、大学受験に必要な最低限の基礎を固めることに集中した。
少しずつ上げていったモチベーションが最大になったのが3年生の夏休み。午前中は学校、昼から夕方までは図書館、夜は塾の自習室と勉強場所を変えることで、勉強にメリハリをつけた。「気分転換は図書館で『Newton』を読むことでした。自然とやる気にもつながりました」
夏以降、モチベーションをどう保ったのだろうか。「ビックマウスになって合格宣言し、自らプレッシャーを与えた。自分の口で自分を鼓舞することで、いい意味でナルシストになれました」と笑う。
高校生には「高校生活では、何か心が熱くなれることに一生懸命になってほしい。それが勉強のエネルギーに転換された時、強いと思います」とエールを送る。
「身近にライバルを」
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千葉県出身の山口花奈さん(文2)。彼女は1年間の浪人生活を経験している。
「現役時は浪人を覚悟した受験期を過ごしていました」と話す。「それでも、高校生活は120点をつけたい。学校行事を全力で楽しめたので、後悔はありません」
4月に勉強漬けの1年をスタート。夏までに基礎固めようと意欲に燃えていたが。「思いっきり勉強していた反動で、夏過ぎに『燃え尽き症候群』になってしまった」と話す。どう軌道修正したのか尋ねてみると、「予備校の信頼していた先生に週1回相談しに行っていたことが、息抜きになっていました」
多くの受験生が全国から集まる大きな予備校だと、周りがどれだけ勉強し、どんな成績を取っているか分かりにくかったという。「浪人している同じ高校の友人と定期的に連絡をとって、情報交換をした。モチベーションを保つために、身近なライバルを作るという意味でも効果的でした」
「慶應での大学生活がとてもに充実している」と語る山口さん。「夏を過ぎると、模試の評価がシビアなものに変わり、現実を見させられる。それでも、高校生活を楽しむことだけは忘れずに過ごしてほしい」と話してくれた。
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3人に共通しているのは、受験をネガティブに捉えず、最後まで攻めの姿勢を崩さなかったこと。そして何よりも高校生活3年間を満喫しきって大学へと進んでいるということだ。
ぜひ悔いの残らない高校生活を経て、慶大の門をくぐってもらいたい。
(入澤綾子)