第50回関東大学バスケットボール新人戦記念大会が、5月24日から30日にかけて、代々木第二体育館などで開催された。慶大は初戦の国際武道大学戦を129―66の大差でものにするも、2回戦、今大会5位となった東海大に80―100で完敗。慶大はベスト16に終わった。

東海大に敗退―来季に不安残す

 「敗因はなし。力負け」と佐々木ヘッドコーチが振り返ったように、終始東海大に圧倒される試合となった。慶大のスタメンは蛯名(1年・洛南)、矢嶋(1年・福岡大濠)、清水(2年・春日部)、中島(1年・魚津)、桂(2年・国立)。
 慶大は序盤から東海大に3ポイントシュートを立て続けに決められ、1Qが終わって11―26と大幅リードを許してしまう。2Q、ディフェンスから流れを変えたい慶大だが、ファウルがかさみ思うようにリズムが掴めない。3Qには蛯名が5ファウルで退場。終盤に矢嶋、中島の優れた個人技による加点はあったものの、序盤からの大量リードを詰めることはできず、80―100でゲームセット。慶大は昨季のベスト8を下回るベスト16で今大会を終えた。
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 来季に不安が残る。80得点した東海大戦における2年生の得点は、桂と清水による5点だけ。佐々木ヘッドコーチをして「2年生が頼りない」と言わしめてしまった。

次世代エースとして期待のかかる矢嶋。フィジカル面での課題をいかにして乗り越えるか
次世代エースとして期待のかかる矢嶋。フィジカル面での課題をいかにして乗り越えるか
ただ、これまでベンチの育成に手をかける余裕が慶大にはなかっただけに、2年生が育っていないのは当然と言えば当然。新人戦を見てみても、まだ“手探り”状態である感を受けた。「秋には追いつくし、1年後には追い抜く」いう佐々木ヘッドコーチの言葉を信じたい。
 東海大戦で14得点の矢嶋は、「良いディフェンスを毎回出来るように練習から頑張っていきたい」と今後の課題としてディフェンスを挙げた。東海大戦で慶大の犯したファウルは、全部で26。この試合は1年生主体のメンバーだったが、ディフェンスを頑張る“気持ち”は先行するものの体がついて行けず、手で止めに行ってしまう局面が多かった。4年生の主将二ノ宮から言わせれば、「すごい気持ち強くてやる気はすごいあるんですけど、やっぱりまだ体が弱いかなという」。1年生は、今後大学バスケの体の当たりに負けない体づくりが必要となるであろう。
 ベスト16。今後に不安が残る結果となったが、挽回できるか否かは日々の練習にかかっている。佐々木ヘッドコーチは、関東トーナメントでも出場の機会を得た蛯名と矢嶋について次のように語っている。
「あの2人(蛯名、矢嶋)は、慶應の伝統をまた変えますね。練習の態度がすごくいい。だから、この子たちがあのままの状態で練習をがんばってくれたら、相当伸びます」
 蛯名は洛南高校のキャプテン、矢嶋は名門福岡大濠のエースとして鳴り物入りで慶大に進学した。素質はある。いかにモチベーションを保って練習ができるか。彼らの“伸び代”に期待したい。

2010年7月8日更新

文 井熊里木
写真 井熊里木