「福澤先生ウェーランド経済書講述記念講演会『福翁自伝』の成り立ちについて―晩年の福澤諭吉―」が先月14日、三田キャンパスで行われた。本講演会には松崎欣一名誉教諭が登壇し、『福翁自伝』の成り立ちについて語った。
慶應4年5月15日、上野で旧幕府軍と新政府軍の戦いが行われている最中、福澤諭吉は当時土曜日の日課であったウェーランド経済書の講義を続けた。義塾ではこの故事を偲び、5月15日を「福澤先生ウェーランド経済書講述記念日」として、毎年記念講演会を行っている。
松崎氏は講演の中で『福翁自伝』の構成や作られた経緯などを解説し、同書の中で福澤が伝えたかったことについて晩年の著訳・出版活動や記録などから読み解いた。
「『福翁自伝』は晩年の先生がその生涯を振り返り、維新変革期の理想と日本社会が到達した現実との乖離を通解し、改めてその原意に立ち返ることの必要性を認識して記した作品」としたうえで、「その必要性は現代の我々にも通ずるメッセージでもある」と語った。