講演に向け、日々稽古に励む
講演に向け、日々稽古に励む

全力を発揮して大会へ

日本の伝統芸能のなかでも長い歴史をもつ能楽。この能楽の普及を第一義とし、稽古に取り組む団体が慶大にある。慶應観世会というサークルだ。この慶應観世会の様子を知るべく、会代表の樋口麻衣子さん(文3)にお話を伺った。

慶應観世会は文化団体連盟所属の公認サークルで、今年で創立74年を迎える。能楽の基礎である謡・仕舞の稽古は週に2回。水曜日と土曜日に日吉の部室で行っているそうだ。12時から21時のなかで各自が可能な時間帯に集まり、平均五時間程度練習を行うという。
また、月に2度、プロの能楽師である観世流シテ方坂井音重師からの指導も受けており、こちらは坂井音重師の自宅で行われているそうだ。
そんな慶應観世会の活動で最大の魅力はやはり舞台での公演だろう。なかでも目玉となるイベントは、8月初旬におこなわれる「観世会能」。例年渋谷松濤の観世能楽堂を借りて発表することになっているというから、まさに最大の見せ場といえよう。
そのほかにも三田祭での仕舞発表会、坂井音重師の素人会への参加、他大学観世会の自演会での賛助出演などといった機会に発表を行っているという。
OBとのかかわりが特殊かつ緊密というのも、この団体の大きな特徴。大学卒業後も坂井音重師の素人会の門下となられるOBの方が多く、金銭面・技術面で大きな支えとなっているそうだ。
特に春・夏に行う合宿では、OBの方による指導がメインだという。そこには「ただ同じサークルに属していた、という過去的なつながりではなく、お能の道を志す者同士としての絆がここにはあるように感じます」と樋口さんは話す。
最後に、会代表の樋口さんに今後の活動への意気込みと塾生へのアピールを伺った。
「お能は総合芸術だといわれます。ひとつの舞台を行うのにも、舞手(主役)だけの力では決してできない。サークルの中でも『こうあらねばならぬ』ということは最小限にとどめ、それぞれが自分の100パーセントを発揮して大会に臨めるよう努めています」
今後の発表としては、6月12日に日吉塾生会館ホールで開催される伝統芸能系サークルの合同発表会「Japan! Culture in Keio」を控えている。また8月7日には「観世会能」が例年通り観世能楽堂で行われる。三田祭での発表も例年通り行われるようだ。
普段は能楽になじみがないという人も、ぜひこの機会に能楽の魅力に触れてみてはどうだろうか。
(千葉将希)