来年度の慶大の学費が上がる。慶大は11月28日、2023年度の学費を発表した。22年度と比べて、文・経・法・商が2万円、医・理・総・環が3万円、看・薬がそれぞれ5万円の値上がりとなる。値上げとなるのは設備費と授業料が中心だ。全学部共通して設備費が1~2万円上昇し、授業料は医学部以外1~2万円の値上げ。実験実習費のかかる学部では、理工を除き実習費が1万円増額する。
学費算定方法 スライド制とは何か
慶大は学費算定の方法にスライド制を用いている。スライド制とは、物価など諸価格の変動による費用の増加を学費に反映させる制度だ。慶大が定めた指標(スライド指標)の倍率を当年度学費の基礎となる数値に掛け、次年度学費を算出する。スライド指標は学費の種類ごとに異なる。入学金・授業料は、人事院勧告による国家公務員の給与の対前年度アップ率に、同定期昇給のアップ率分を加算したもの。施設設備費は、東京標準建築費および設備費の対前年度アップ率によるもの。実験実習費は、工業製品の消費者物価指数の対前年度アップ率によるものだ。以上の基準で求めた倍率を当年度の学費に掛ける。ただし、スライド率がマイナスとなった場合でも学費は前年度と同額に据え置く。慶應義塾の公式発表によれば、23年度学費についても現行のスライド制を継続して適用した。
スライド制は昭和51年度以降の入学者を対象に適用されている。スライド制の目的は、不安定な経済状況へ柔軟に対応し得る態勢を確保するため、学費を負担する保護者などに大幅な支出をもたらさず、できるだけ小幅の段階的な負担増で学費を支出し得るためなどだ。慶大は今後も現行のスライド制を継続して適用するとしている。
私大は近年学費上昇傾向
慶大の学部学費は2年連続の値上げとなる。私立大学の値上がりは今後も続く可能性がある。朝日新聞と河合塾の共同調査「ひらく 日本の大学」は、円安やコロナ禍、ウクライナ問題による電気代の高騰、研究に使う資材不足が多くの大学に影響していると明らかにした。同調査によれば、調査した485の私立大のうち22%が中長期で学費を値上げする方針だという。また文科省の発表した資料では、私大の初年度学生納付金等は令和3年度時点で7年連続上昇している。
(乙幡丈翔)