―三田祭実行委員会に入ろうと思ったきっかけを教えてください。
誰かを支える立場につきたかったからです。高校までマーチングバンドをやっていたのですが、大会などに出場する時には、輝く人のそばには必ず、何倍ものそれを支える人たちがいるということを感じていました。今度は自分が輝く人たちを支えたいという思いで、実行委員会に入りました。
─その中でも本部企画局に入った理由は何ですか?
三田祭実行委員会という組織に入るからには、埋没したくない、何か大きいことをやりたいという思いがあって。他団体の企画のサポートをするというよりも、自分たちが作った企画で観客を驚かせたり感動させたり、誰かの感情に作用させたいと思い本部企画局を選びました。
─今年の本部企画の見どころは何ですか?
今年の本部企画は全部で10個あり、ダンスなどのパフォーマンス系が7つ、一般の塾生などに参加してもらうミニゲーム系が3つです。特にイチオシなのが後夜祭です。本部企画局は2・3・4年が8人ずつで24人の組織になっています。2年生は1人1企画を担当し、それを経て3年生では8人で1つの企画を作るのですが、それが後夜祭です。皆で力を合わせて作る1番大きな企画なので、かなり期待しています。
例年三田祭の最後を締めくくるのが後夜祭ですが、一方で三田祭の開幕を盛り上げる企画は多くありませんでした。そこで今年は4年生の主導のもと、開幕祭にも力を入れています。
─三田祭の準備はどのようなスケジュールで進めるのですか?
三田祭が終わったらすぐ、来年に向けて動き出します。このタイミングで4年生が引退して、1年生が局に別れ所属するという形ですね。12〜5月までは色々な企画を考える時期で、6月末頃に執行部の前で企画をプレゼンし、承認されるといよいよ実務の部分に入ります。
─企画のアイデアはどのように出すのでしょうか?
最初の1ヶ月くらいは、ブレインストーミングという形でとにかく多く企画を出します。YouTubeやテレビの企画を、学生仕様や慶應仕様にアレンジしたものが多いですね。その後集客性や実現可能性、場所や出演団体を考慮して、企画を絞っていきます。
─準備で苦労したことはありますか?
私が2年生の頃は、先輩から「この企画面白くない」「本当に人来るの?」などと厳しい言葉をかけられることも多かったです。三田祭を盛り上げるためには必要な観点なのですが、精神的に辛い思いをすることもありましたね。実務面だと、計画通りにいかずスケジュールが遅延したり、塾生の方に協力をお願いしたりするのが大変でした。本部企画は塾生の方に協力して頂くものがほとんどなので、出演して頂く方のモチベーションを保つことが必要なんです。しかしその過程で実行委員が上から目線のような態度を取ることがないよう、後輩に伝えるようにしていました。
─局員をまとめるうえで気をつけていたことはありますか?
1番は、褒めるところは褒める、叱るところは叱るということだと思います。私自身は叱ることが苦手なタイプです。しかし優しさ一辺倒だと上手くいかない部分も多いですし、全てが肯定されて怒られない環境だと伸びない後輩もいるので、時には引き締めることも大事にしています。一方で褒められて伸びる子もたくさんいるので、褒めるだけで終わらせず、さらに良くなるにはどうすればよいか、後輩の成長を考えるようにしています。
─やりがいを感じるときはどんな時でしょうか?
先ほどお伝えした通り、企画を行うには執行部へのプレゼンで承認してもらう必要があるのですが、いくつかの企画が壁にぶつかり頓挫しそうになった時がありました。その際、局員に変わって私自身が企画を詰め、企画のクオリティを上げることの方が容易かったのですが、それでは後輩の成長につながらないと感じました。そしてどうやって後輩自身の力で承認まで持っていくかを必死に考えた結果、本人たちの手で企画を承認してもらうことができました。努力が報われ、達成感を感じる後輩の姿を見て、「頑張ってきてよかった」と思いましたね。局に入った時はまだ青二才だった後輩たちが成長していっている姿を見るのが、今もこれからも楽しみです。
─今年の三田祭で、去年と違う部分はありますか?
今までは割と、こちら側が見せたいもの・やりたいものを企画に詰め込んでしまうような部分もあったかなと思います。去年の観客の反応を見て、今年は観客の方が実際に「面白い」と思ってもらえるかどうかを考えて企画を考えています。
局の運営面でいうと、後輩のポテンシャルを引き出せる環境を重視しています。昨年は先輩が厳しめで、会議などで後輩たちが萎縮してしまう場面も見られました。今年は後輩がどう思ってこの企画を持ってきたのかなど、後輩が意見を言える場を多く作ることを意識しています。
─山下さんの三田祭にかける想いを聞かせてください。
私が1年生の時に人がたくさん来る三田祭を経験しているからこそ、オンラインや人数制限での開催を経て、今年また例年どおりの三田祭が開催できることに、期待感で満ち溢れています。今年は塾生以外の方にも来ていただけるので、塾生の頑張っている姿を見ていただける場を私たち本部企画局が作ることで、少しでも三田祭を盛り上げたいと思っています。
─最後に、塾生にメッセージをお願いします。
塾生たちの努力が花開く瞬間を、目の当たりにして欲しいです。塾生は自分が所属しているコミュニティの人たちが頑張る姿を見る機会は多いですが、自分が関わらない人達のそのような姿を見る機会はあまりないと思います。三田祭は普段の練習や研究の成果を発揮する場なので、塾生の色んな一面を見て、何か感じるものがあればとても嬉しいです。塾生の溢れる努力や才能、熱量を、是非感じてください。
(木村珠莉)