7月2日と3日、2日間にわたり第33回七夕祭が開催された。七夕祭は、五慶祭の一つであり、毎年7月の頭に湘南藤沢キャンパスで開催されている。地元団体と協力して屋台を出したり、さまざまなサークルや団体がパフォーマンスを披露したりと賑わいを見せる。大迫力の花火も目玉企画の一つだ。
今年度は、3年ぶりに対面での開催となった。また、今年度から例年秋に開催されていた秋祭と七夕祭が融合し、2日間の開催となっている。1日目は天候にも恵まれ、約2500人もの来場者が、2日目は雨に見舞われたものの、約1500人もの来場者が訪れた。両日共にチケットは完売し、七夕祭は大盛況となった。
一昨年の七夕祭は完全オンライン型、昨年度はオンライン・オフライン融合型、そして今年は完全チケット制を導入し、3年ぶりの対面での開催となった。チケット制は、コロナ禍でもお客様を招き入れるための打開策だそうだ。初めてのチケット制導入に関して、今年度の湘南学祭実行委員会代表を務める谷口巧さんは、「チケット用のメールを設けたのですが、そこの通知がとんでもなくて……」と語った。キャンセル等の対応に苦戦したという。コロナ禍での開催には実行委員会も頭を悩まされた様子だ。
七夕祭の運営において大切にしているのは、夏祭りの要素だ。装飾では櫓や提灯を設置するなど、細部まで工夫があり、参加者の多くが浴衣を着ていることは縁日を連想させる。また、七夕祭は地域の人々とのつながりを重視している。今年は地域の方の協力を得てキッチンカーやレストランコラボを実施したり、装飾用の門には藤沢市の方からご提供いただいた竹を使用したりと数々のこだわりが見られた。谷口さんは、「第33回七夕祭は、地域のお祭りでもありつつSFCの学園祭でもあるという新しさがあると思います」と笑顔で語った。地域のお祭りの側面と学園祭の側面を持つという、新たな七夕祭の魅力だ。
今年の七夕祭の準備は、実行委員の取りまとめにおいて多くの障壁があった。今年から実行委員会の名称が、「七夕祭実行委員会」と「秋祭実行委員会」が融合したことにより、「湘南学祭実行委員会」となった。代表の谷口さんは、「それぞれのメンバーに元々あった輪をどう馴染ませていくか」に悩んだという。
また、引き継ぎが不十分であったことにも苦戦した。対面での開催は3年ぶりということもあり、過去の資料が十分に残っていなかった。そのため、一から企画を練る必要があった。
数々の障壁を乗り越え、ついに開催となった七夕祭当日。当日の大盛況の裏にも、実行委員会の知られざる奮闘があった。一番苦慮したことは人手不足だったそうだ。谷口さんは、「オンラインとオフラインを比べると企画の規模が異なって、それに伴い必要な人数も多くなり人が足りなくなってしまいました。3年ぶりだったので色々なことをやりたくなってしまって。色々なことに手を出した結果、膨大になってしまい……」と苦笑する。
目玉企画の打ち上げ花火では、谷口さんが急遽アドリブで挨拶をした。花火打ち上げまでの時間を巻き過ぎてしまい、逆に時間が余ってしまったそうだ。花火の舞台裏にも、最後まで気を抜かない、実行委員会の絶え間ない努力があった。
来年以降の七夕祭の展望を谷口さんはこう語る。「今年度はオンラインからオフラインへの移行でまだ至らない点が多くありました。来年以降は、今までの良い点は残しつつ、問題点は解決してより良い七夕祭を作ってほしいです」
(高梨怜子)