戦争犯罪を知っているだろうか。聞いたことはあるがよく知らないという方も多いのではないだろうか。かくいう私も日本史の授業で聞いたきり、その実際の意はよくわからないまま20歳を超えた。そして再びニュースで目にするようになった。
武力紛争による特定の行動の禁止は何世紀も昔に遡ることができるが、戦争犯罪の概念は19世紀終わりから20世紀初めに発展した。赤十字国際委員会によると、戦争犯罪とは「人および財産に対して行われる重大な違反行為、または、国際的・非国際的な武力紛争の際に適用される法規および慣例に対する著しい違反のこと」と定義されている。具体的には、ジュネーブ条約によって確立されたもののうち、故意の殺害や生物学的実験を含む拷問、または非人道的扱いなど、国際法によって確立されたもののうち意図的に民間人に対して攻撃を仕掛けること、軍事目的でない物体に対する攻撃を意図的に仕掛けることなどが挙げられている。詳しい事例は国際連合のホームページから参照できる。
戦争犯罪が認められたら国際司法裁判所(ICJ)によって裁かれることになる。ICJは国際連合の機関の一つであり、その事件を付託できるのは国連加盟国の国々ということになる。さらに、国際連合憲章には「各国連加盟国は自国が当事者であるいかなる事件においても国際司法裁判所の裁判に伴うことを約束する」と明記されている。
近頃耳にするようになった「ジェノサイド」とは戦争犯罪と同じく国際的に裁かれる犯罪の一つで、特定の集団や民族を滅ぼすほどの大量殺害を意味している。国際刑事裁判所は他にこれらと並ぶ重大な犯罪として侵略犯罪、人道に対する犯罪を挙げている。
他の犯罪同様、戦争犯罪も十分な証拠がない限り戦争犯罪として認められない。さらに戦争犯罪という結論が下された後も、その責任は誰が負うべきかという問題もついてまわる。行動を移した人なのか指示を出した人なのか。なお、戦争犯罪と結論を下された第二次世界大戦後の極東国際軍事裁判(東京裁判)を例にとってみれば、戦争指導者25名に実刑が言い渡された。
戦争犯罪は難しく、何が正解で何が間違っているかなど意見を述べることは控え今回は紹介にとどめたい。しかし戦争犯罪について考えるとき平和で豊かな世界に思いを寄せずにはいられない。
(小島毬)