球春到来、いよいよこの季節がやってきた。4月9日から開幕する春の六大学野球で慶大は東大との一戦を機にスタートを切る。昨シーズン、大学野球三冠に輝いたということもあり今シーズンも大きな期待が寄せられている慶大野球部であるが、開幕を目前に控えた今、チームを束ねる主将・下山悠介選手(商4)に今シーズンの抱負を熱く語ってもらった。
――いよいよ春の六大学野球開幕まで一週間に迫りました。(取材日:4月2日)試合を目前に控えた今どんな心境でしょうか
少しずつ良い意味で緊張感が出てきていて、もちろん不安もあるのですが冬の練習の成果を出せるのではないかという楽しみのほうが大きいです。
――冬の練習ではチームとしてどんなことを意識して取り組んできたのでしょうか
昨シーズンはそれぞれの大会の終盤でスタミナ切れしてしまうことが多かったので、今シーズンは心技体充実した状態で一年間、戦い抜くことができるように野手投手問わずタフに練習量を積み重ねました。
――オープン戦が始まっていますが、現在のチームの状態をパーセンテージで表すと何%の状態でしょうか
僕の感覚では70%位かなと思います。
――残りの30%というのはどのような点でしょうか
少し前までのオープン戦では苦しい戦いを強いられていて30、40%の状態でしたが、ここ最近になってガッと上がってきて70%になったかなと思います。でもまだまだこのチームは成長できると思うので70%にしました。
――試合を目前に控えている中で、チームはどんな雰囲気ですか
今年の代は明るい面々がそろっていてAチーム・Bチーム(レギュラーメンバーのチームと補欠メンバーのチーム)関係なく皆で刺激し合い、とてもよい雰囲気で全員が野球に取り組めているなという印象です。
――今年度のチームの強みは何ですか
ピッチャー陣です。橋本達弥(環4)、増居翔太(総4)、生井惇己(総4)、渡部淳一(法4)の4人がリーグ戦を経験してきているので、そこの軸がしっかりしているのが今年の強みだと思います。
――昨シーズン、下山選手は春に3割5分、秋に2 割7分と高い打率をマークされてきました。そのミート力(バットの芯でボールをとらえる力)の秘訣は何でしょうか
自分はホームランバッターではないと思うので、いかにしてセンター方向を心掛けながら、打球を広角に打ちわけていくかということを日頃の打撃練習から意識していています。その点がミート力の秘訣だと思います。
――昨シーズン、下山選手は春秋ともにエラーがありませんでしたが、守備へのこだわりはありますか
昨シーズン、1年間ノーエラーだったということは自信につながりました。またエラーがなかった要因としては日頃から基礎練と応用練どちらも大切にしてきたというのがあります。またこの冬も基礎練、応用練どちらも積み重ねたので、今シーズンもノーエラーを目指したいと思います。
――今年の冬に下山選手が個人として重点的に練習してきたことはなんですか
バッティングのパンチ力(打球を遠くに飛ばす力)を上げることに重点をおいて練習に取り組みました。大学3年間でミート力はかなり付いてきましたが、フェンス手前で打球が失速して外野フライにうちとられるというケースが多かったので、そこを何とか成長したいなと思いパンチ力の向上に注力しました。
――今シーズン、下山選手が自分のココを見てほしいというアピールポイントはありますか
やはりこの冬、力強いバッティングを身につけることに取り組んできたので、ミートするだけではない自分のバッティングにぜひ注目してほしいです。
――今シーズンの下山選手個人としての目標をお聞かせください
個人としての目標は首位打者です。それと付け加えて主将なので1年間怪我無く常にチームの中心に居続けるというのが目標です。
――今シーズンから主将に就任されましたが、主将として意識していることはありますか
自分はなかなか言葉で引っ張るということには長けていないので、その分背中で引っ張るということを意識しています。それに加えて慶大野球部は主体的に動ける部員が多いので、4年生を中心に周りを巻き込みつつチームを引っ張るということを意識しています。
――昨年度の主将、福井さんからどんな声をかけられましたか
「悠介らしくやれば大丈夫だから」という力強い言葉を頂きました。
――今シーズンの戦いで下山選手が特に期待している選手はいますか
かなり新戦力が出てきているという印象ですが、その中でも4年生ピッチャーの中村公祐(商4)と田中智貴(法4)の2人がどんどんよくなっているので期待しています。あとは新一年生で外丸東眞(環1)というピッチャーが入ってきて、彼もオープン戦で結果を残しているのでフレッシュなピッチングに期待しています。
――春の六大学の試合に臨むにあたってチーム全体で意識していることはありますか
慶大野球部ではリーグ戦が始まるまでは全員が競争し合ってレギュラーやベンチ入りをつかみに行くというスタンスでやっていますが、いざリーグ戦となればメンバーから漏れた選手たちがベンチメンバーを支えますし、支えられている分ベンチメンバーは全力で勝利をもぎ取りに行くというマインドを共有しています。
――特に警戒している対戦校、選手というのはありますか
今年の六大学は戦力が拮抗しているので、特別に警戒している選手やチームはないですが、早大には昨年も負け越していて通算対戦成績でも負け越しているので慶大の宿敵として勝ちたいという思いがあります。
――早慶戦にかける特別な思いをお聞かせください
対抗戦のなかの1カードに過ぎないと言われればそこまでかもしれないですが、色々な歴史を振り返ればわかる通り、かなり伝統のある一戦だということは早大の選手も理解していると思うので、その中で行う早慶戦はより緊張感のある負けられない一戦だ、という意識を1年生の頃から持っています。
――下山選手は高校、大学と慶應のユニフォームを袖に通されてきましたが、その最終年となる今シーズンを迎えるにあたっての心境はいかがですか
中学生の頃に憧れたユニフォームを着させてもらってから、あっという間にラストイヤーを迎えてしまったので、慶應のユニフォームを着て仲間たちと野球ができるということに改めて感謝して、この一年間プレーしていきたいと思います。
――そして今シーズンのチームとしての目標をお聞かせください
リーグ戦優勝、早稲田に勝つ、日本一、という三つがチームの揺るぎない三大目標なので今シーズンはその三つを達成できるように頑張ります。
――野球部を応援している塾生にむけてのメッセージをお願いします
いつも塾野球部への応援をありがとうございます。昨年経験させてもらった三冠から学んだことを活かし、タフなトレーニングを積み重ねてきました。神宮球場ではつらつとしたプレーをして皆さんに元気をお届けできると思うので、期待してください。応援よろしくお願い致します。
(吉浦颯大)