大学受験シーズンが到来する2月から3月にかけて、慶大では在学生を対象とした第2学年編入学試験が実施される。
学部での学習開始から1年近くが経過し、入学時に思い描いていた学問とのギャップに戸惑う学生もいることだろう。編入学試験に合格すると転部先の第2学年に編入学でき、残り3年で卒業を目指せる。
2022年度編入学試験の出願資格を有するのは、第1学年修了者、2022年3月第1学年修了見込みの者、または通信教育課程在籍者で在籍期間や単位取得の要件を満たした者だ。編入先は医学部・看護医療学部を除く全学部が対象で、2022年度試験の出願は1月11日に締め切られた。
募集要項は毎年11月頃、塾生サイトに掲載される。募集人数は若干名とされており、昨年度は全学部合計で志願者43人、合格者15人だった。
編入学試験の過去問は、各キャンパスの学生部で、学生証を提示すると閲覧できる。試験問題は多くの学部で語学重視の傾向がある。文学部・法学部では、第1学年修了程度の第2外国語も課されるのが特徴だ。経済学部・商学部では、専門科目である経済学の出題があり、基本的な経済用語の意味や数式の理解が問われる。理工学部・総合政策学部・環境情報学部では、筆記試験を伴わず、書類審査や口頭試問などで選抜される。複数学部の併願は可能だが、学部ごとに試験形態が大幅に異なるため、それぞれに合わせた対策が必要だ。出願に当たっては全ての学部で志望理由書が必須であるため、転部の理由や入学後の学習の方向性を定めておくことが求められる。
転部の制度は慶大に限ったものではなく、他大学でも実施されている。難関私大として肩を並べる早大は、入試要項を学部別に公開しており、出願には第1学年の成績による基準が設けられている。筆記試験を課す学部は、HPで直近3年分の過去問も公表する。過去問の複写さえ認められていない慶大と比較すると、情報量が雲泥の差だ。編入学試験の情報がないことを理由に、転部を諦める学生が出ないよう、慶大は情報公開を進める必要がある。
自分が本当に探求したい学問は何か。編入学試験は大学での学習・研究をより有意義なものにするための選択肢を提示している。
(菊地愛佳)