いやー、あちゅいですね。昨日、僕のエアコンが謎の宇宙人の総攻撃を受けて壊れてしまいました。ヤバイです。暑くて勉強に全く集中できません。このままだと単位を落としてしまいます。何とか暑さを抑える方法を探してちょ。 (薬1男)
「何だ、このふざけた奴は」。悪戯としか思えない依頼メールに憤る所長。そこへ、所員M(経2)が「孔子が言っていた。『単位は寝て待て』とな。大体暑いなんて、気の持ちよう。修行が足りないから暑いんだ。修行しろ修行」とエレガントに発言する。そんなMに所長が「ほう、君は単位は寝て待つから暇だよね。じゃあ、この依頼を頼んだよ」と言い放った。
「ふん、エアコンを買い換えればいいだろうが」。Mは公園のベンチでふて腐る。すると、目の前でスイカを食べている人が、スイカに塩をかけていた。それを見てMはひらめく。「涼しさは自分の中にある!甘さを引き出すために塩をかけるように、暑さを極めれば、寒さはやってくるはずだ!」
早速やってきた健康ランド。Mは意気揚々とサウナに突入する。「サウナの中で運動すれば暑さを極められる」と周囲の視線も気にせずサウナの中でスクワットを始めるM。しかし、しばらくすると酸欠で視界がチラチラし始め、意識が朦朧としてきた。失神寸前でサウナから出たMは「これは命に関わる」と感じ、別の方法を探すことに。
次にMはもっとソフトな手段を取り、超厚着をすることに。夏本番ではないものの、気温はすでに25度を超えている。そんな中、Mはダウンジャケットにマフラーと覆面という姿で暑い所に向かうことに。
まず、エアコンの室外機が沢山ある場所へ行く。なかなか暑いものの、その暑さからは寒さは生まれなかった。次にMは「焼肉屋は暑い」と焼肉屋Aへ行くが、即効入店を拒否される。
気落ちするMに追い討ちをかける出来事が。昨今の事件の影響か、警察の職務質問を受ける。警官が「君、何をやっているんだ」と聞いてきたため、Mは「見て分からないか。正義のヒーローだ」と惚ける。しかし、そんなものが通用するほど社会は甘くない。署までは連行されなかったものの、その場でこってり絞られ、Mはとぼとぼと事務所へ戻った。
Mは事務所で一人考える。「結局寒さは見つからなかった。どうすれば寒さを得られるんだ」。それまでの調査を振り返りMは気づく。「そうか、俺のやっていたこと自体が寒かった。寒さは一番近くにあったんだ」
その晩、Mは依頼主に回答のメールをした。「あなたの依頼メール自体が寒い。それがあれば暑さも乗り越えられます」
(ラディッツ松本)