オンライン開催は「苦渋の決断」
実行委員の中で三田祭のオンライン開催の話が持ち上がったのは今年4月。5月4日に緊急事態宣言の延長が決定し、その話が現実味を帯びた。執行部の3・4年生の計18人と話し合いを重ね、6月14日に正式に決定した。
最大の難所は、「いつ」オンライン開催に舵を切るか、ということだった。オンライン開催なら、準備を前倒しで進めなければならない。一方、11月に新型コロナが収束している可能性もあり、実地開催も選択肢の一つ。しかし、11月に新型コロナが再拡大していた場合、三田祭は中止となってしまう。新型コロナに対する実行委員の価値観の違いから、さまざまな意見が生まれた。
最終的には、東京都のロードマップや他大学の事例も参考にしつつ、大学側と協議。三田祭の完全オンライン開催が決定した。
三田祭に懸ける想い
オンライン開催に不安な点は数多くあった。まず「どれくらいの人がオンライン開催に興味を持ってくれるか」ということ。そして「三田祭と言えるものが創り上げられるのか」ということ。果たして62回目の三田祭を名乗れるのか、という気持ちもあった。
しかし、その不安を先行したのが「三田祭を途切れさせたくない」という想い。三田祭実行委員会は4年間続けて活動する。その間に、三田祭に全力で挑む実行委員や慶大生の姿を数多く見てきた。
三田祭とは、慶大生の「日々の積み重ね」「努力の結晶」であり、特別な舞台。それをつなげていきたいという想いが強まった。
「若きチカラ、燃ゆる血から。」
今年の三田祭には17年ぶりとなるキャッチコピーが復活した。「若きチカラ、燃ゆる血から。」である。
以前まで慶大の独立自尊の精神に基づき、キャッチコピーを設けていなかった。しかし、「三田祭を多くの人に好きになってほしい」という想いがあり、親しみやすいフレーズを新たに作った。
テーマは「若さゆえの力」。三田祭は学生のエネルギーが渦巻いている舞台であり、そのような熱気を伝えたいと考えている。