多くの塾生・塾員に惜しまれながら半世紀の歴史に幕を下ろした大衆割烹「つるの屋」(記事)。店内に飾られていたペナントが、慶大の歴史資料として所蔵されることが分かりました。来年以降の一般公開も検討されています。(太田直希)
所蔵するのは、慶應義塾福澤研究センターです。店舗に残っていたペナントを、全て引き取りました。額縁に入った旗だけで、約130点に及びます。現存する最古のものは、1977年に贈られた体育会空手部のペナントです。
「つるの屋」の店内には、体育会・研究会・サークルなど、さまざまな団体から贈られたペナントが壁一面に飾られていました。開店当初からの常連客は、「礼節ある塾生が、店への感謝の気持ちを込めて贈ったのが始まりだろう」と話します。
保存を担当する同センターの都倉武之准教授(近代日本政治史)は、「戦後の慶應義塾の学生文化を知る上で重要な史料だ」と旗の歴史的価値を説明します。
ペナント以外の備品も、保存を進めています。中には、旧店舗のメニュー表や、故・宮下啓三名誉教授(ドイツ文学)が「つるの屋」に贈った絵も。多くの慶大関係者が足繁く通った歴史を物語っています。
これらの所蔵品は、来年5月にオープン予定の「福澤諭吉記念 慶應義塾史展示館(通称:塾史展示館)」での公開が検討されています。展示の責任者を務める都倉准教授は「2年以内をめどに、企画展での展示を目指したい」と今後の見通しを示しました。