ミャンマー連邦共和国と聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか。ミャンマーは東南アジアの国の一つで、100以上の民族が存在する。日本人にとって有名なミャンマーの人物の一人は、アウンサンスーチー氏だ。彼女は、ミャンマーを民主化に導いた人物として知られている。ミャンマーの民主化の活動には、彼女だけでなく、多くの人が参加しているが、民主化活動に参加した人の中には、政治犯として逮捕される人もいる。

Assistance Association for Political Prisoners

Assistance Association for Political Prisoners(以下、AAPP)は、タイのメーソートとミャンマーのヤンゴンに拠点を置く人権団体だ。AAPPは、ミャンマー国内の身柄拘束中の全ての政治犯を解放すること、拘束中や解放後の政治犯の生活の質を保障することを提唱している。AAPPは、ミャンマーで相次ぐ政治活動家の逮捕や投獄を記録しながら、現在および過去の政治犯やその家族に対する、人道的支援や職業・教育訓練の提供を毎月行っている。

AAPPは、人権の意識啓発にも力を入れている。AAPPのスタッフであるMaximillian Morchさんは、「ミャンマーの人々は、70年以上にわたる軍政下におかれ、人権侵害に苦しんできた。だから、自然と人権意識に目覚め、どのように侵害されるかについて自覚している。しかし、まだ多くの人々が基本的かつ総合的な人権理論への理解とその土台となる知識に欠けているのが現状」と話す。

政治犯の歴史を伝える博物館

ヤンゴンの博物館の入口

AAPPは、政治犯が自由で民主的なミャンマーのために闘ったことを伝える、二つの博物館を所有する。一つはミャンマーのヤンゴンに、もう一つはタイのメーソートにある。

来館者は、写真、政治犯の記録、刑務所の縮尺模型、実物大の独房など、ミャンマーの政治犯に関するたくさんの展示物を見ることができる。例えば、政治犯が空き缶と木片で作ったギターが展示されている。自分の思想を表現することや、それを他人に伝えようとすることが厳しく規制される刑務所内で、政治犯が表現することを諦めなかったことが感じ取れるのではないだろうか。

不十分な病気の手当てや、拷問、栄養失調によって、亡くなった政治活動家の写真もある。四方の壁には、ミャンマーの政治犯の歴史や政治犯の刑務所中の生活についてのパネルが飾られている。政治犯は、看守に座り方さえも監視される。もし、政治犯が座り方の規則に従わなかった場合、足を開いて立ち、膝を90度に保つという最も疲労する姿勢で立ち続けなければならない。当然のことながら、どんなに疲れていたとしても、政治犯が体勢を変えることは許されない。

来館者は、かつての政治犯に収容経験について尋ねることもできる。あるかつての政治犯は「自分がやったことを後悔していない。なぜなら、それはミャンマーの民主化に必要だったから」と語った。

政治犯の独房(ヤンゴン)

ミャンマーの政治犯と人権

現在も政治犯の逮捕は続く。詩人で映画監督のMin Htin Ko Ko Gyi氏の場合、自身のフェイスブックに2008年に当時の軍事政権が制定した現行憲法の改正を求める投稿をしたことにより逮捕され、一年間の投獄が宣告された。日本ではある程度表現の自由として認められている行為でも、ミャンマーでは政治犯として逮捕されることがあるのだ。

AAPPは、現在および過去の政治犯に関する最新情報をホームページで公開している。最新情報を用いて、ミャンマーの政治犯と人権について、考えてみてはいかがだろうか。

(塚原千智)

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