8月17日、第一生命ホールにて、豊平青(とよひらしょう)さん(政2)が指揮するクレド交響楽団が、巨匠ジェラール・プーレ氏との共演を果たした。豊平さんの指揮、プーレ氏のバイオリン独奏で、ブラームスのバイオリン協奏曲が演奏された。終演後、ほぼ満員の会場は盛大な拍手に包まれた。

2019年8月17日、演奏会の様子(第一生命ホール)

ジェラール・プーレ氏との出会い

プーレ氏は、フランスの至宝と呼ばれる御年81歳の名バイオリニストである。後進育成にも意欲的で、世界各地で若手を指導している。2019年にはフランス芸術文化勲章の最高位を受章した。

今回の共演について、豊平さんはこう振り返る。「僕はもともとバイオリンを弾いていて、高2の夏にプーレ先生がソリストとして客演された演奏会に参加しました。演奏が大変鮮烈だったので、先生のリサイタルに行き直談判をしたら、レッスンを受けられることになりました。教えを乞うた曲は、今回先生と演奏したブラームスのバイオリン協奏曲です。レッスンで聴く先生のお手本に完全に魅了され、いつか先生のバイオリンと自分の指揮でこの曲を演奏できたらいいのにと、漠然と思っていました」

楽団設立後、自分の指揮、プーレ氏の独奏でこの曲に再挑戦したい気持ちをぶつけると、快く承諾してもらえた。胸が高鳴ると同時に、重圧も感じた。理想に近づくために必要な演奏会だったという。

演奏会当日、リハーサルで楽譜を見て相談する豊平さん(右)とジェラール・プーレ氏(左)

楽団と豊平さんの「クレド」

クレド交響楽団は2018年に発足し、豊平さんが指揮した慶應義塾高等学校・女子高等学校ワグネル・ソサィエティ・オーケストラの定期演奏会でショスタコーヴィチの交響曲第5番を演奏したメンバーが中心となっている。

豊平さんは楽団名の由来に関して、次のように話した。「クレドは信条、主義主張といった意味を持つラテン語で、高校時代、ショスタコーヴィチの研究の過程で出会った言葉です。僕は常に音楽の本質に迫る演奏がしたい。そのために曲を世界で一番理解する気で勉強をし、その価値・理念をお客さんと共有したい。これが僕の『クレド』です」

今回のプーレ氏との演奏で、一人では到達できない世界を覗くことができたという。理想へ近づく大きな一歩となった。

今後の演奏会

クレド交響楽団は、第3回演奏会を12月28日(土)14時から、日吉キャンパス協生館にて行う。ベートーヴェンの交響曲第7番と、モーツァルトの交響曲第38番が演奏される。また、来年8月の演奏会では、プーレ氏と再共演するとのこと。

豊平さんとクレド交響楽団の音楽から、耳が離せない。

(竹西怜)