今年で117年目を迎える東京六大学野球の早慶戦。今春に行われた伝統の一戦でとりわけ輝きを放ったのが、節目のリーグ通算100安打を記録した柳町達選手(商4)と、カード勝ち越しの決勝点を挙げたルーキー下山悠介選手(商1)だ。秋の早慶戦で勝利のカギを握る両選手に、ライバル早大への思いやオフの過ごし方などを自由に語り合ってもらった。
(聞き手=広瀬航太郎)
――二人とも慶應義塾高校(塾高)出身で、大学では商学部。右投げ左打ちの三塁手で、1年時から注目されている。他に共通点は?
柳町 えーっ、何かあるかな。下山は僕よりすごいと思ってるんで、軽々しく自分と似ているとは言えないですね。
下山 いやいや。
柳町 (寮の)部屋が同じなんですよ。部屋では、野球の話はあんまりしないかな。僕がふざけているんで、下山はいつもそれを見て笑ってます。
――プレイヤーとしてのお互いの印象は
下山 達さんのプレーは高校の頃からテレビで見てました。周りの人の話を聞けば聞くほど「偉大な方」っていうイメージが強くなって。
柳町 あはは。よく言うよ。下山は堂々としていて、1年生っぽさが無い。春のオープン戦からしっかり打って守っていて、秋にはブレイクするんじゃないかなって注目してました。
下山 僕としては「堂々としてるぶっちゃってる」。試合で緊張はするんですけど、堂々と見せることによって気持ちも少しは楽になるかなと。
――下山選手は春の早大1回戦で初スタメン。3回戦では先制打も放った。
下山 早慶戦で初先発というのはあらかじめ(学生)スタッフチーフの方から言われていたので、驚きはしませんでした。ただ、いざスタメンが発表されると、どんどん緊張してきて。それでも3回戦のあの打席はポジティブな気持ちで、余計なことは考えずに入れました。
――柳町選手は同じ春の早大1回戦で、リーグ通算100安打をマーク。シーズン全体では自己最高となる打率3割7分8厘を記録した。
柳町 100安打達成に向けたプレッシャーはあまりなかったんですけど、いざ99本目が出るとあと1本が遠い。「早く(記録を)出したいな」という焦りは感じました。筋トレ好きのチームメイトに誘われて体づくりに励んだのが、良い結果につながったんじゃないかと思います。
――今季に向けて、夏にどんな準備や練習をしてきたのか。
柳町 8月の北海道キャンプでは個人練習の時間が長くて、僕は大半を守備練習に充てました。三塁と外野のどちらで起用されてもしっかり守れるように練習してきたつもりです。
下山 大学野球は、緩急をうまく使い分ける投手が多いと感じたので、キャンプでは打撃で変化球に対応するための取り組みに重点を置きました。守備面では、一般的にサードで受ける打球は速いんですが、大学生が芯で捉えた打球は特に速い。自信を持って守れるように、「捕って投げる」基本動作を確認しました。
――柳町選手は今夏、侍ジャパン大学日本代表に選出され、日米大学野球や高校日本代表との壮行試合にも臨んだ。
柳町 佐々木朗希投手(岩手・大船渡高校)と対戦しましたけど、やっぱり良い投手。高校生の球が全体的に速いのにはびっくりしましたね。大学日本代表というレベルが高い選手しかいないチームで、「自分の役割は何なのかな」とよく考えさせられた。そういう経験ができたことが、この夏一番大きかったですね。
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