目まぐるしく変化する東京の中心で、60 年間変わらずに存在する東京タワー。総合電波塔としての役割を担うだけでなく、東京のシンボルとして愛されてきた。三田キャンパスに通う塾生にとっては、身近な存在であるが、実は来塔したことがない人も多いだろう。東京タワーが担う役割は現在までどのように変化してきたのだろうか。今回は、株式会社東京タワー、エンターテイメント課の柏木広水さんに東京タワーの魅力を聞いた。
現在の東京タワーの姿
東京タワーは、1958 年に各テレビ局の電波塔を統合するために、総合電波塔として建設された。1967 年には特別展望台(現トップデッキ)が開設され、現在まで国内外から多数の 観光客が訪れている。東京スカイツリーの完成後、総合電波塔としての機能は減ってしまったが、その一方で、観光スポットとしての価値は高まり続けている。 東京タワーに次ぐ、新たなシンボルとしてスカイツリーが完成してから約 7 年経ったが、 東京タワーは展望台としても影響を受けたのだろうか。「スカイツリーによってお客さんが減ったのか聞かれることは多い。しかし、来塔者数は完成前後でほとんど変化していない。修学旅行生は少し減少したが、外国人観光客が増加している」
オリンピックに向けて
柏木さんによると、外国人観光客の来塔者数は年々増加し、10 年間で全体の10%から40% に達しているという。2020年に向けて、さらなる外国人観光客の来訪も期待される。柏木 さんは 2 度目のオリンピックを迎えるにあたって、外国人観光客の対応にも力を入れていると話す。「英語や中国語が話せるスタッフの雇用や、オーディオの多言語化を行なっている。オーディオガイドは13言語用意しているため、ほとんどの観光客の方に楽しんでいただける」
街のシンボルとして
外国人観光客の来塔は確かに多いが、東京に住む人々も訪れる機会があるという。「以前、子供の時に来塔した方が、大人になり、自分の子供の手を引いて来てくれた。結婚記念日や、プロポーズなど人生の節目に訪れる方も多い」と、柏木さんは嬉しそうに振り返った。学校や仕事帰りに、ふと見上げるといつもと変わらずある東京タワーの姿に癒される人も多いのではないだろうか。下から見上げる東京タワーも魅力的だが、ぜひ一度登って美しい東京の街を眺めてみるのも良いだろう。東京タワーが東京を一望できる展望台として、街のシンボルとして、東京での人々の営みを見守っていることを感じるに違いない。
(菱川怜菜)