近年、独自に制作した動画をYouTube上に投稿して活動するクリエイター、YouTuberが多くの若者の人気を集めている。この慶應義塾大学にも、チャンネル登録者数が400万人を超える大人気YouTuberが在学している。チャンネル名はSUSHI RAMEN【Riku】(すしらーめん《りく》)。実験やドッキリなどさまざまなジャンルの動画を配信している。動画制作と大学を両立している彼に話を聞いた。
配信のきっかけは祖父
YouTubeに初めて動画を投稿したのは中学2年生の頃。スイカに大量の輪ゴムを巻きつけていつ爆発するか検証していたところ、友達が顔を近づけた時にスイカが爆発した。
この瞬間をたまたま動画に収めていたため祖父に見せたところ、普段怖い祖父が大笑いしてくれたと、りくさんは回想する。「友達の勧めもあり、この動画をきっかけとしてYouTubeに動画を載せるようになりました。動画を配信するたびに祖父が笑ってくれることが、とても嬉しかったです。YouTubeが家族の雰囲気をより良くしてくれましたね」
出る杭を伸ばすキャンパス
登録者数が100万人を突破した高3の頃、りくさんは大学選びに葛藤していた。もともと「大学に必ず進学する」という条件で動画配信を続けていたのである。この悩みを友達に相談すると、このような答えが返ってきた。「りくはSFCがあっていると思うよ」
SFCについて調べてみると、学部長のメッセージにこのようなことが書かれていた。「出る杭を伸ばすキャンパス」。この言葉に惹かれ、SFCへの入学を志望したという。入学して約1年、毎日の大学生活が学びで溢れており、満足しているそうだ。
「SFCの学生は、一人一人が自分自身で磨き上げた、楽しい世界を持っている。そのような学生と日々触れ合うことで、いろいろなことを考えさせられます。このキャンパスに通学することが本当に楽しいですし、感謝しています」
ピースな笑い
りくさんは大学に入学するまで、がむしゃらに動画を配信し続けていたため、一つひとつの動画に対するこだわりについてあまり深く考えたことがなかったそうだ。しかし、最近はゼミ活動などを通してその「こだわり」を言葉で表せるようになったという。
「一生懸命自分が作った動画で、人が笑ってくれたらとても幸せです。登録者数などの数字についてはあまり重要視していません(笑)」
りくさんが動画制作するにあたって常に重要視しているのが、「ピースな笑い」である。人が嫌な気持ちになったり、マイナスな影響を与えたりしてしまう動画は絶対に出さない。また、自分がどんなに辛くても、視聴者が見ている場には絶対にその素振りを出さない。視聴者がどの動画を見てもいい気分になるような動画作りを、常に心がけているそうだ。
「視聴者さんには適当に見て欲しいです。学校のクラスメイトがやっているという感覚で、ご飯を食べながら見てもらうというのが理想ですね」
年老いてもYouTuber
今後の展望について尋ねるとこのような答えが返ってきた。「最終目標としては、自分が祖父になった時も今と同じようにみんなが笑える動画を配信し続けたいです。そして、今の学生が自分と同じように年老いた時に、変わらず暇つぶしとして見てくれるのがいいなと思っています」
視聴者が年老いても愛され続けるようなYouTuberを目指して、りくさんは日々の動画制作に勤しんでいる。
(松本功)