グローバルCOEプログラム「論理と感性の先端的教育拠点形成」の研究で、ハトには絵の上手・下手を区別する判断能力がある事が明らかになった。文学部・同大学院社会学研究科渡辺茂教授によれば、訓練を通じてハトがその「区別」を学習することができるという。
実験には児童画(慶應義塾幼稚舎協力)が用いられた。前提として評価Aの絵と評価C・Dの絵を一般成人10人に見せ、上手・下手の判定をしてもらい、その判定と評価の一致度が高い絵を「上手な絵」「下手な絵」とした(なお、ここにおける「上手な絵」とは具体物の特徴をよく捉えイメージしやすい絵の事を指す)。結果、ハトは訓練によってヒトに類する美的判断力を得る事が出来ると証明された。
ハトはこれまでの数々の実験において「視覚認知」に長けた動物である事が確認されている。今回の実験から、ハトとヒトの脳の構造や進化は大きく異なるにもかかわらず、「美」を認識する能力はほぼ等しいことが明らかになった。