今年度より大幅なカリキュラムの改定が行われた商学部。これは05学則と呼ばれるカリキュラムが制定された2005年より14年ぶりのことである。商学部長である榊原研互教授に今回のカリキュラム改定の意図について話を聞いた。
19学則の背景に迫る
まず、2005年の05学則はよくできた学則ではあるが、カリキュラムの体系性に欠けるところがあった。そこで導入されたのがフィールド制だ。
従来のシステムでは良くも悪くも学生の自主性に委ねられていたため、主体性のない学生は易きに流れる風潮があった。フィールド制は、専門性を極める一方で幅広い知見や視野も養うという、商学部の学びをより確かなものにするためのものだ。
しかし、3学年に進級し三田キャンパスに通いながらも、必修科目の再履修のために日吉に足を運んでいるようでは、三田での体系的な履修は覚束ない。そのため19学則では3年生への進級条件が少し厳しくなった。
19学則の概要
新学則で新たに導入されたフィールド制では、商学のコアである4つのフィールド「経営・会計・商業・経済産業」を強く意識してもらうために、これら4つの基礎科目が全て1年次の必修となった。
また1・2年次には各フィールドの習得に必要な基礎科目を学ぶことになる。
3・4年次では1つのフィールドを選択して専門を深めるとともに、フィールドを越えて多様な専門科目を柔軟に履修することもできる。
フィールド制の導入に加えて、通年科目の見直しも行われた。全ての講義科目が形式上、半期で履修可能となった。これは、近年急速に進行しているグローバル化に対応するためであり、希望する学生がより留学しやすく、慶應に来る留学生にも履修しやすい環境となる見込みだ。
適用について
一方で、学則が改定された現在、19学則が適用されるのは本年度入学した1年生からであり、前年度以前の学生には05学則が適用となる。異なる学則の上級生から新入生へ履修に関する誤った情報が流れることが懸念される。
商学部生としての学び
最後に、榊原教授は商学部生に対して、挑戦する心を持ち続けてほしいと語った。商学部では、GPP(グローバルパスポートプログラム)やダブルディグリープログラム、国際教養プログラムなど個人の強みを伸ばす多様なプログラムが設置されている。このような機会を積極的に活用して、自分の世界を広げ、幅広い知見を得るよう呼びかけた。
学生の現状や時代の流れに合わせて変化するカリキュラム。その中でも、学生の主体性は常に求められているようだ。