発明王エジソンは特許にうるさい男だった。映画カメラを発明し映画上映の特許を独占していた彼は、あらゆる映画に対し特許料を要求。支払わない者を次々と告訴した。映画制作会社はエジソンの監視の目を逃れるためにアメリカ西部を目指す。こうして誕生したのが、ハリウッドである。
昨年度の国内映画興行収入ランキングが発表された。英国のロックバンド、クイーンのボーカルであるフレディ・マーキュリーの半生を描いた『ボヘミアン・ラプソディー』が断トツの一位を獲得した。全体の興行収入も歴代三位を記録し好調さがうかがえる。
DⅤDレンタルサービスや月額制動画配信サービスが広がる現代において、わざわざ映画館を訪れる観客の足が途絶えないのは、映画界の真の強さを表しているだろう。通常より大きなスクリーンで楽しめるIMAXや体感型映画上映システム4Dなど、新しい楽しみ方を私たちに提供してくれるのも嬉しい。
ヒット作が多く誕生しているのも、映画産業の好調さを後押ししている。昨年度は『ボヘミアン・ラプソディー』が一位に輝いたが、テレビドラマの劇場版や人気アニメの実写版・劇場版など、ファンの層が厚い国内の映画も健闘している。
ハリウッドで誕生した映画は、瞬く間に世界中に広がった。ワーナーブラザーズやパラマウントなど、現在まで続く大手制作会社は、このハリウッドで黄金時代を築く。特許を使って利益の回収に腐心し映画会社に立ちはだかっていたエジソン。彼がハリウッド勃興のきっかけを作ったと考えると、私はむしろ彼に感謝したい。
(山田安希子)