Q いま全国の医学部医学科で、一体何が起こっているの?
A 入学者選抜において、得点操作が行われている疑いがあるんだ。
9月上旬に、文科省が調査を行った。その結果、医学部医学科のある全国81大学の入学者選抜で、男子受験生の医学科合格率が女子の約1・2倍であることがわかった。これは過去6年間の平均だ。約6~7割の大学で、男子の合格率が女子を上回っていたんだ。
Q どうしてこの調査が行われることになったの?
A 東京医大がきっかけだ。臼井正彦前理事長らが、文科省の前局長の息子を東京医大に不正に合格させたという事件を起こしたんだ。
この汚職事件に関連して、文科省が調査を行ったところ、同大学の入学者選抜において、一部の受験生の点数を加算していること、女子と3浪以上の男子を不利に扱っていることがわかったんだ。このような得点操作は、センター試験や一般試験を含む入試で、2006年から行われていたとされる。
Q なぜそのような得点調整を行ったの?
A 同大学の関係者によると、女子は出産や子育てで医学の現場を離れることが多く、医師不足を解消するための措置だというんだ。
Q 他の大学は得点操作を認めていないの?
A 順天堂大では、男子の合格率が女子の1・67倍ということがわかった。昭和大は、男子の合格率は女子の1・54倍で、現役生と1浪の受験生に加点する不正や、一部の試験で同窓会の親族を優先させていたことを認め、謝罪したんだ。
その他の大学は、不正があったと自主的に公表はしていない。しかし明らかに男女の合格率の差が不自然であるため、得点操作が行われていた疑いがあるんだ。
Q どのくらいの受験生が被害に遭ったの?
A 東京医大の入試を調査している第三者委員会の報告によれば、2017年~18年の入試で、本来なら合格だったのに不合格だった受験生は69人もいたんだ。そのうち女子は55人いたとされる。しかも、年ごとに合格者の傾向が変わるように数字の調整をしていたようなんだ。
Q 合格できなかった受験生はどのような反応を示しているの?
A 例えば、「東京医大等入試差別問題当事者と支援者の会」という団体は、文科省に対して被害者救済についての説明を求めていて、一刻も早い対応を行うよう要望書を提出しているよ。
また、「医学部入試における女性差別対策弁護団」の受験生約20人は、同大に成績開示、慰謝料、受験料返還などを求めているよ。地方から上京してきた受験生もいるから、その場合は、交通費や宿泊費の支払いも求めているんだ。
Q この問題はこれからどうなるの?
A 文科省は、医学部医学科のある大学を訪問調査し、年内までに詳しい最終報告書をまとめる予定だよ。
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