▼4回戦・慶應義塾 14–5 秦野総合(七回コールド)
第100回全国高等学校野球選手権記念北神奈川大会は22日、サーティーフォー保土ヶ谷球場(横浜市保土ヶ谷区)で4回戦が行われ、慶應義塾高(塾高)は秦野総合を14–5(七回コールド)で下した。準々決勝へと駒を進めた塾高は、24日に横浜スタジアム(横浜市中区)で桐蔭学園と対戦する。
打のヒーロー・吉川海斗(2年) 休日のバッティングセンター、練習の成果 花開く
打った本人も予想外の本塁打だった。
一回裏、2点を先制してなおも二死一、二塁の場面で打席に入ったのは、春季県大会3回戦以来の先発出場となった吉川。久々のスタメンに「やってやるぞ」と強気でバッターボックスに立った。
緩いカーブを引きつけ、タイミングよく振り抜いたが、「感触は良くなかった」。しかし、ファールゾーンに切れかけた球は、思いがけず右翼席にスタンドイン。「決して長打を打つタイプではない」というつなぎの7番打者が、高校通算4号3ランで初回からたたみかけた。
春先は、まだ打撃に苦手意識があった。打席で体が開き、変化球に泳がされて空振り。自主練習ではバッティングにほとんどの時間を割き、帰宅後の素振りも欠かさなかった。休日はバッティングセンターに通い、「8回券」を使って計160スイング。フォームを修正しながら出番を待った。
監督には前日にスタメン起用を告げられ「昨夜はあまり眠れなかった」と緊張を隠さない。それでも、1打席目で本塁打が飛び出し肩の力が抜けた。四回にはこの日自身5打点目のタイムリーが飛び出し、試合を決定づけた。
「良い場面で次のバッターにつなぐことが自分の役割」という言葉通りの猛アピールで、2戦連続のコールド勝ちに貢献。チームは8強入りを果たした。「これからどんどん厳しい戦いになる。必ず3連勝して甲子園に行きたい」。新進気鋭の2年生の夏はまだ始まったばかりだ。
「泰然自若」で失点止めた
守っては3回戦に続く先発登板の大島(3年)が二回に崩れ、一時2点差まで詰め寄られた。それでも、試合前に森林監督が掲げたテーマ「泰然自若」を貫き、マウンドを引き継いだ田口(2年)が後続をピシャリ。最終回にはこれまで登板を控えていたエース・生井(3年)と渡部(3年)がバトンを受け、安定の投球で試合を締めた。
◯森林監督「(生井、渡部の両左腕について)登板間隔が空きすぎていたので最後に投げさせた。次戦以降、この二人がキーマンになるのは間違いない」
(広瀬航太郎)