第58回全日本男子学生バスケットボール選手権大会が、11月19日から26日にかけて代々木第一体育館で開催された。リーグ戦を2位で終え2年ぶりの優勝に期待がかかった塾バスケ部は、決勝で東海大に接戦の末敗れ、準優勝に終わった。東海大の優勝は二年連続2回目で、連覇は第48回大会から第51回大会にかけて四連覇した日体大以来。個人賞では、リバウンド王となったC竹内公輔選手(総4)が敢闘賞に、ディフェンス王に輝いたF酒井泰滋選手(環4)が優秀選手賞を獲得した。
 
 
 ▼一回戦 ○
 【慶大108―57大阪体育大】

 序盤からC竹内公、F酒井がコンスタントに加点し、ディフェンスもしっかりと機能する理想的展開。特に竹内公は30得点、28リバウンド、10 ブロックのいわゆる『トリプルダブル』で、観客を沸かせる。終わってみれば慶大がシード校の貫禄を示し、難なく一回戦を突破した。
 F酒井「いい部分もあったが反省面もあった。二回戦まで二日空くので修正していきたい」。
 
 
 ▼二回戦 ○
 【慶大106―60筑波大】

 序盤は筑波大の厚いチームディフェンスに阻まれ、思うように得点が出来ない。しかし3Q以降、慶大のオフェンスが冴える。筑波大を16点差と引き離し、そのまま勢いに乗って4Qには35得点。終盤は控え選手陣の大量得点もあり、「良すぎるくらいの出来」と佐々木HCが珍しく好評する程の試合内容となった。
 F酒井「オフェンス面ではまだまだいける部分もあったが、自分のやりたいことができ、リズムがつかめた。明日は一発勝負に強い法大戦。油断は禁物。春からの成長を感じられる試合ができるよう、頑張りたい」。
 
 
 ▼準々決勝 ○
 【慶大88―65法大】

 ここまで危なげない展開で勝ち進んだ慶大の勢いはこの日も止まらない。相手はリーグ戦で延長戦を戦った法大。だが、この日はインサイドを竹内公が完全に制圧。本人は「朝起きたら熱があって、練習でもだるかった」と話していたが、リバウンドだけでなく体格差を生かしたポストアップで着実に得点し、法大のC高久に大きな仕事をさせない。アウトサイドからはG小林大(総1)が3Pを3本決めるなど、好シューターの揃う法大のお株を奪うオフェンスで加点。逆に法大の外からのシュートも封じ込め、慶大が二年ぶりに準決勝進出を決めた。
 F酒井「(準決勝の日大は)F菊地中心のチーム。自分が菊地を抑えられれば勝てるだろうから、ディフェンスを重視していく」。
 
 
 ▼準決勝 ○
 【慶大86―66日大】

 準決勝に相応しく、試合は序盤から白熱した。2Q途中までに慶大は日大に21点差をつけるが、竹内公の連続ファウルで日大が流れを引き寄せ、慶大12点リードで前半を終える。だが3Q途中、日大のC太田も連続ファウルを犯し、タイムアウトを取るとここから日大はゾーンディフェンスに切り替え、慶大に追いすがる。ここで大きな働きをしたのがG小林大。連続で3Pを決め、再び慶大が点差を広げて見せた。最後は日大がオールコートプレスディフェンスで反撃を試みるも、時既に遅し。慶大が20点差の快勝で決勝に駒を進めた。
 F酒井「明日の決勝は最後なので、楽しんでやりたい。チームのディフェンスが機能しているので、そこを活かして戦っていきたい」。
 敗れた日大のF菊地「ディフェンスでインサイドの二人(酒井・竹内公)を意識し過ぎてしまい、逆に外から小林大にやられてしまった」。憮然とした表情。
 
 
 ▼決勝 ●
 【慶大73―76東海大】

 試合終了の瞬間、コート上に小松(総3)、小林大、加藤(経3)が崩れ落ちた。酒井と竹内公が倒れこんだ三人を助け起こす。対照的に、連覇を決めた東海大の選手たちはセンターサークルに集まって歓喜の表情を見せた。
 「素直に言って悔しい。下級生は頑張ってくれたが…」。試合後の酒井のコメントが、決勝戦の全てを物語っていた。この日酒井にマッチアップしたのは竹内譲。リーグ戦では酒井が竹内譲を押さえ込んでいただけに、竹内譲はリベンジに燃えていた。竹内譲30得点に対し、酒井は12得点に封じられた。竹内譲はさらに酒井をファウルトラブルに追い込み、インサイドでの激しいプレーを阻止。PFのマッチアップが、この試合の結果を左右した最大の要因であった。
 それでも、慶大はよく戦ったと言える。1Qは控えのF青砥(環2)やF趙(環1)の活躍でリード。4Q途中にG小松が執念のバスケットカウントを獲得。そこからF酒井のフリースローで1点差に迫った。が、C竹内公が残り30秒で痛恨のパスミス。その後東海大にシュートを決められ、そのまま得点板が動くことなく試合が終わった。慶大の二年ぶりのインカレ制覇の夢は、この瞬間、水泡に帰した。